漢方軟膏『紫雲膏(しうんこう)』

漢方軟膏『紫雲膏(しうんこう)』

漢方軟膏「紫雲膏(しうんこう)」をご存知でしょうか。

主成分の「紫根(しこん)」が、2010年6月にTV番組にて美白・美容に効果があるとして紫根化粧水を自作することがブームとなりました。

流行り物は瞬く間に広がりますが、忘れ去られるのも早いものです。

紫根を主成分に使用している「紫雲膏」についてご紹介いたします。

漢方外用剤「紫雲膏」

紫雲膏は、江戸時代の外科医”華岡清州(はなおかせいしゅう)”創案の軟膏で「春林軒膏方便覧」に収録され、今日まで受け継がれてきました。

華岡清州:
紫雲膏の開発の他、通仙散(つうせんさん)という麻酔薬を開発し、1804年に世界初の全身麻酔によるがんの手術に成功

通仙散は、「マンダラゲ」という植物を始め、数種類の植物を調合してつくられていました。

紫雲膏の構成

【成分・分量】
紫根(シコン)  120g
当帰(トウキ)  60g
ゴマ油      1000g
ミツロウ     340g
豚脂       20g

 

製造方法

・ゴマ油を煮て、ミツロウ及び豚脂を入れて溶かし、次いでトウキを入れる。

・トウキの色が焦げるのを度として火力を増し、シコンを入れて2~3沸騰させ、鮮明な紫赤色になったら速やかに火よりおろし、布でこして冷却して軟膏とする

実際に私は製造したことがないのですが、「薬局製剤 漢方212処方の使い方」の紫雲膏説明欄に留意点として、製造するコツが5つ記載されています。

その1:ごま油の十分な加熱
ごま油の加熱は、その1適を水中に落とすと球のようになるまで十分に加熱する

その2:ミツロウを加えるときには少しづつゴマ油へ入れる

その3:トウキは金網のザルに入れて、ふきこぼれないように何回もつけたりあげたりする

その4:トウキが焦げ色になったら、ザルの中を紫根に変え、油の中につけたら2~3沸くらいの短時間であげてしまう。

その5:すぐに火を止め、バットのような平皿に流し込んで自然急冷。これが一番大切らしいです

作ってみたい方は、これらのコツを参考にしてください。

効能・効果

ひび、あかぎれ、しもやけ、魚の目、あせも、ただれ、外傷、火傷、痔核による疼痛、肛門裂傷、湿疹・皮膚炎

使い方

傷口などに直接塗り込んでも良いのですが、リント布やガーゼにたっぷりつけて傷や患部を覆うのが効果的です。

注意事項

シコンは染料としても利用されていますので、紫雲膏が衣服につくと赤紫色に着色されることがありますので、汚れても良い服を肌着に選びましょう。

おすすめ

私は、外傷、日焼け、肛門裂傷、痔核に紫雲膏を使用しています。

夜入浴後、寝る前に使用します。

朝、少しベトベトしているので、軽く蒸しタオルでふき取るか、シャワーで流しましょう。

ガーゼやリント布を使用する場合には、朝に新しいものに付け替えておきましょう。