PMSに効く漢方薬

PMSに効く漢方薬

月経前症候群(PMS)の漢方治療についてご紹介いたします。

PMSとは

PMS(:premenstrual syndrome)とは月経前症候群のことで、月経前3~10日間続く体調や精神面に不快な症状があらわれ、月経開始とともに症状が軽減する特徴があります。

ご相談の多い年代は、20代から40代。

月経のある女性の70~80%が月経前に何らかの不調を感じているようです。

原因は

はっきりとした原因は解っていませんが、排卵後の女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の急激な変化が関わっていると考えられています。

排卵から月経がはじまるまでの間を黄体期と言います。この期間はエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。月経期が近づくと両ホルモンの分泌量が急激に低下します。この変化に体がうまく適応できないために様々な心身症状を引き起こしていると考えられています。

中医学では、女性の月経周期は「血」と関係が深く、現れる症状の多くは血の乱れ(滞りや不足)が原因であると考えています。

主な症状

頭痛、肩こり、むくみ、乳房の張り、便秘、肌荒れ、ニキビ、腰痛、食欲不振、過食、めまい、倦怠感、イライラ、不安、睡眠障害、落ち着きがなくなる、集中力低下など様々な症状があり、200種類以上にも及ぶと言われています。

自分に合った漢方薬を選ぶ方法

漢方薬治療は、身体にあらわれる様々な症状から五臓・気血水の乱れを探り、「証」を見極めて治療を行います。

自分に合った漢方薬を選ぶため方法をご紹介いたします。

①普段の体調や生活習慣の観察

もともとのご自分の体質・体調を知ることが大切です。

冷えやすい、むくみやすい、頭痛や肩こりで悩んでいる、睡眠が浅い、便秘気味、月経痛で悩んでいるなど

普段気になる症状を書き出してみましょう。

好きな季節・苦手な季節や気候、性格や生活習慣などご自分を観察してみてください。

②月経前に起こる症状

次に月経前に起こる症状、現在のお悩みの症状を書き出してみましょう。

③関連性を見つける

普段の症状が月経前ではどんな変化があるのか、症状が軽い月と重い月での体調の変化など観察してください。

④五臓を知る

観察した症状や体質から、五臓のどれと関連が深いのかを「五臓の乱れを簡単チェック」から選びましょう。

⑤気血水の乱れを探る

気血水の乱れについては「気血水精について知る」から、それぞれの特徴をつかんで、どこと関連が深いかを探りましょう。

⑥舌の状態をチェック

漢方相談では問診の他に舌を観察して、体内の状態を推測します。ご自分の舌を鏡で観察してどのような特徴があり、どんな体質なのかを調べてみてください「舌を見ると体の変化がわかる」

よく使われる漢方薬

ご自分の体質や特徴が解ったら、よく使用される漢方薬から自分の特徴にあった漢方薬を選んでみましょう。

ただし、服用前には必ず漢方専門の薬局・薬店でご相談してください。

当帰芍薬散

五臓の肝・脾・腎に症状があらわれやすく、冷えやむくみが強い、水滞・血虚と呼ばれる状態である方におすすめ。

その他、真武湯、苓桂朮甘湯などもむくみに利用されます。

婦宝当帰膠

当帰芍薬散と同様に肝・脾・腎の症状があり血虚体質の方にお勧めの中成薬です。

普段の体質が血虚体質で、月経前になると瘀血や気虚が伴うような場合は、普段から婦宝当帰膠を服用して、排卵期から月経期に向けて他の処方を組み合わせて服用することをお薦めします。

桂枝茯苓丸

五臓の肝・腎に症状があらわれやすく、頭痛、肩こり、のぼせ、月経痛、排卵痛、経血に塊が混じるなど瘀血と呼ばれる状態。

その他、血府逐瘀丸、芎帰調血飲第一加減などがあります

瘀血(おけつ)度チェック

加味逍遙散・逍遙散

五臓の肝、特に気の滞りと血の滞りの症状である、イライラ、怒りっぽい、ゆううつ、頭痛、胸の張り、便秘など、乳房が張りやすい方は気滞症状が強い傾向になるため、この処方がおすすめです。

抑肝散・抑肝散加陳皮半夏

加味逍遙散同様にイライラが起こりやすい方でも、乳房の張りはそれほどでもなく睡眠が浅くなる、ふらつきやめまいがある場合は、こちらの処方がお勧めです。

改善のすすめ

PMSを我慢していたり、短期間だから、閉経したら起こらなくなるからとほっておく方もいますが、PMSは起こらない状態が理想的。

症状があるという事は、体質的に乱れが生じているという事。ほっておいても体質は改善されません。

これから、40年、50年と楽しく健やかに生きていくためにも、今から体質を改善しても遅くはありません。少しでもお悩みであれば、体質改善・養生をおすすめいたします。