チックは漢方で改善できる

チックは漢方で改善できる

チックでお悩みの方は、漢方薬を試してみてはいかがでしょうか。

チック症・トゥレット障害についての基本情報・中医学のとらえ方・おススメ漢方薬をご紹介していきます。

Tourettes Syndrome

チックには、運動チックと音声チックがあり、さらに持続時間によって単純性チック、複雑性チックに分類されています。

運動チックは、瞬き・顔しかめ・首ふり・肩すくめ・あごをカクカクさせるなど

音声チックは、咳払い・鼻ならし・叫び声など

多様性の運動チックと1つ以上の音声チックを有して、何らかのチックを認める期間が1年以上に及ぶ場合に、トゥレット障害と診断されます。

これは、1885年に症例報告をしたフランス人医師のGilles de la Tourette(ジョルジュ・ジル・ド・ラ・トゥレット氏)にちなんで命名され、トゥレット症やトゥレット障害と呼ばれています。

トゥレット障害は、4~11歳頃に発症することが多く、10~15歳頃に最悪時を迎えるが、成人期初めまでに消失や軽快に転じる場合が多い疾患です。推定発症は学童期の子供で1000人あたり3~8人と言われています。

チックは, 突発的, 急速, 繰り返される不規則な運動もしくは発声(例:瞬目, 咳払い)である.(DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 日本精神神経学会 医学書院 p239)

中医学のとらえ方

中医学では、五臓の「肝」と深くかかわっていると考えます。

「肝」の主な働き

①気の巡りの管理:ストレスの緩和や調和、気血の巡りと関係がある。ストレスの蓄積や強いストレスは気血の巡りが停滞し、イライラ、憂鬱、消化器官の不調、排便がスムーズでない、ガスが多いなどの症状があらわれやすい。

②血の貯蔵:身体が必要としているときに貯蔵している「血」を供給し不足しないように貯蔵する働き。不足すると貧血症状があらわれ、目のかすみ・乾燥・疲労、筋肉のこわばり・けいれん・震えがあらわれやすくなります。

③筋(すじや腱など)と関係:筋(すじや腱など)は「肝血」によって維持されていますので。肝血の不足・循環の停滞が起こると筋肉のけいれんやこわばり、しびれが起こります。

④目と関係:筋同様に目も「肝血」によってその働きを調整されていますが、相互依存の関係があるため目の酷使は「肝」の働きを妨げることになります。

⑤怒りと関係:感情の怒りは肝の働きを悪くします。また、怒りっぽい人は「肝」の働きに何らかの不調があります。

チックは、③筋の働きに問題が出ていると考えています。チックが起こるときの傾向を観察していると、何らかの緊張や興奮が起点となっています。

つまり、「肝」の興奮が原因していると中医学ではとらえているのです。

 

お勧めの漢方薬

「肝」が興奮すると、中医学では「肝気鬱結」、「肝火上炎」、「肝陽上亢」、「肝陽化風」などの様々な状態へ変化していきます。

その中でも「肝陽上亢」から「肝陽化風」といった状態に変化した時に、筋のこわばりやけいれんが発生しチックがあらわれてきます。

その為、治療法としては肝の興奮を鎮め、「風」の症状であるこわばり、けいれんを取り除く処方(滋陰平肝熄風)が主に使用されています。

抑肝散又は抑肝散加陳皮半夏

抑肝散(よくかんさん)・抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)という漢方薬の名前を聞いたことがあると思います。

数年前、認知症の対策としてTVや雑誌でも多く取り上げられた処方です。

中医学での効能は滋陰平肝熄風(じいんへいかんそくふう)、肝の興奮を鎮め、風の症状(けいれん、こわばり、ふらつき)を取り除く働きがあります。

その為、子供のひきつけ、夜泣き、疳の虫、三叉神経痛、眼瞼痙攣、こむら返り、手の震え、ろれつが回らない、眠れない、落ち着かない、イライラなど「風」「肝」とかかわりのある様々な症状の改善に使用されています。


その他、「肝」がもともと弱い場合は「血虚(けっきょ)」が原因している場合があるため「血」を補う漢方薬を併用します。

目を酷使している場合は、菊花・枸杞子といった生薬をお茶として服用することをお薦めしています。


チック症状は、成人とともに軽減し軽快すると言われていますが、症状を繰り返すとチックではなく「癖」として習慣的になる可能性もありますので、早いうちに軽減させてあげましょう。

 

不登校にも応用

不登校の多くは 起立性調整障害が起因していると考えています。

起立性調整障害は、「肝血」が不足していることが原因でもありますが、もともと「肝」が敏感な体質であると、気候の変化や生活リズム・自身の体の成長の変化についていくことができないため自律神経が乱れ、倦怠感、頭痛、腹痛、めまい、朝起きれないなどの症状を訴えるのです。

現代社会で不登校が多くなっている背景には、社会的要因がからんでいると言われています。

その一つに、スマートフォン・コンパクトゲーム機などです。

当然、「目」を酷使してしまいます。これは「肝」の興奮・疲労を引き起こしますので、その結果、身体に様々な障害としてあらわれてくるのです。

お友達も同じようなことをしていても、体調が悪くならないのはもともとの「肝」の強さが違うためです。不登校や起立性調整障害にも漢方薬は有効です。

お気軽にご相談ください。


本文中画像素材:PhotoAC(https://www.photo-ac.com/