陰陽消長:中医学(漢方・東洋医学)の特徴②
中医学の基礎となる古代の中国自然哲学にある「陰陽論」。
陰と陽は相対する存在でありながら、互いに依存しあう関係でもあり、絶えず変化して、静止することがありません。
この陰と陽が、様々な変化の中でバランスを保ち平衡状態を保つことが、健康を維持することになるのです。
このことを「陰陽平衡(いんようへいこう)」「陰陽消長(いんようしょうちょう)」と言います。
陰陽消長
陰と陽については、「陰陽五行説とは何か」を一読ください。
自然界において起こるすべてにおいて、「陰」と「陽」の対立する関係があります。
例えば、火は熱い性質があり、陽であり。水は寒い性質があり、陰である。
火の熱は水を蒸発させる働きがあり、水は火を消す働きがあり、互いに対立する関係があります。
一方で、火が強くなりすぎないように、水が冷えすぎないように互いに制約してゆきすぎを制御もしているのです。(運動すると汗が出る働き、寒いときに鳥肌を立てて体温が逃げないようにする働きなど)
病気になるという事は、何らかの原因によって、陰又は陽の不足や過剰によって陰陽の平衡状態に偏りができて平衡が保てなくなった時に発生するのです。このことを中医学では陰陽失調と呼びます。
その不足や行き過ぎをコントロールして、平衡状態を自分で保てる状態にするのが漢方治療の役割なのです。
恒常性の維持(ホメオスタシス)
恒常性の維持(ホメオスタシス)という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
哺乳類では、神経系、内分泌系(ホルモンなど)、免疫系の3つの働きで身体の状態・機能を正常に保とうとする働きのことで、ホメオスタシスを可能にするための細胞同士の情報交換や連携はすべて化学物質によって行われているのです。
外部からの刺激や体内環境の変化が起こると、ある種の化学物質が放出し、それが細胞にくっつく(作用する)ことによって生理反応があらわれます。
この化学物質の分泌を直接的・間接的に抑制したり、促進したりする働きを持つものが西洋薬になるのです。
急性に症状を安定させるためには、直接的作用のある西洋薬がすぐれ、慢性的に経過している病気であれば、漢方治療の併用を積極的に考えていただくとよいと考えています。
急性症状でも、優れた漢方薬がありますので、病状の治療方針でお悩みでもご相談に乗りますのでお気軽にお尋ねください。みなみ野漢方薬局では必要と感じた場合には受診勧奨をしています。