竜骨って、何の骨?
漢方処方に使用される生薬の一つ、「竜骨(りゅうこつ)」
「竜骨」とは、いったい何の骨か
答えは、古代(主に新生代)の大型哺乳動物の化石で、主にマンモスゾウ、サイ、シカ、コダイウマを使用します。
古代中国では、これらを恐竜から想定した竜の骨と考えていたため「竜骨」と呼ばれます。
竜骨の効能
鎮静、鎮痙薬として心悸亢進、不眠症、精神不安、異常行動などに用いる主要な生薬。
生薬分類では、「重鎮安神薬(じゅうちんあんしんやく)」
安神薬とは
主に精神安定・鎮静の効能を持つ生薬で、重鎮安神薬と養心安心薬に分かれ、鎮静効果のイメージとして重鎮安神薬は興奮を抑える、養心安神薬は滋養してなだめると考えると解り易いです。
(重鎮安神薬)
竜骨の他、カキの殻である「牡蛎(ぼれい)」、磁石(じせき)、朱砂(しゅしゃ)、琥珀(こはく)、珍珠(ちんじゅ)=真珠などがあります。
(養心安心薬)
酸棗仁、柏子仁、遠志、夜交藤、合歓皮、小麦などがあります。
処方例
竜骨が使用されている処方は、薬局製剤の中では「柴胡加竜骨牡蠣湯」「桂枝加竜骨牡蠣湯」の2種類となります。
竜骨や牡蛎の主成分である、炭酸カルシウムやリン酸カルシウムは水にほとんど溶けませんが、鎮静作用があることは認められています。
西洋薬と飲み合わせ
重鎮安神薬である、竜骨、牡蛎などカルシウムが含有しているものは、ニューキノロン系抗菌薬(シプロキサン、クラビット、オゼックス、メガロシン、スパラ、ロメバクト、バクシダール等)と同時に服用すると抗菌薬の吸収が悪くなりますので注意が必要です。
服用する場合は、ニューキノロン系抗菌薬を服用後2時間後位に、竜骨、牡蛎が含まれている漢方薬を服用してください。
ニューキノロン系抗菌薬を服用する前に、竜骨・牡蛎含有漢方薬やカルシウム成分を含有する胃腸薬や健康食品は服用しないようにしてください。服用する際には必ず、抗菌薬を服用2時間後にいたしましょう。
詳しくは、抗菌薬を調合した薬局薬剤師にご確認ください。
牡蛎が使用されている漢方処方
安中散(一般薬では、大正漢方胃腸薬など)、柴胡桂枝乾姜湯
牡蛎は、漢方素材の胃腸薬に使用されることが多いので、抗菌薬を処方された際には、いつも服用しているものの成分をしっかり確認いたしましょう。
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