病気を改善する5つの生活習慣③(ストレス対策)
- 2019.09.30
- 薬膳・養生
日本人の死亡原因上位の「癌」「心疾患」「脳血管疾患」の原因の一つは「ストレス」が大きくかかわっています。その他、アトピー性皮膚炎、自律神経失調症、うつ病など多くの病気にストレスが関わっています。
「ストレスとは無縁だよ」
「ストレスを感じていない」
とお話しされる方もいますが、ストレスは生きていくためには必要なものであるという事、必要なストレスが病気をもたらす流れについて、その対処法をご紹介いたします。
ストレス学説
(画像出典:PMC米国国立図書館https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5915631/)
ストレスと言えば、ストレス理論の創設者であるハンス・セリエ名誉教授(Selye.H 1907-1982)の名があげられます。
教授は1936年29歳の時に、「ストレッサー」により起こるイライラや不安などによって示される状態のことを最初にストレス反応として定義いたしました。
『人間は、人生の中で様々な出来事に遭遇するが、その遭遇した出来事が自分の対処能力を超えた脅威であると感じる時に、ストレス反応と呼ばれる症状や行動を生じさせる。』
ここでの出来事というのが、ストレス反応の原因となる刺激や要求などで「ストレッサー」と呼びます。
ストレッサーの種類
ストレッサーには、日常生活で遭遇する様々な出来事や刺激が該当します。ストレッサーには強さがありますので、強いストレッサーには大きなストレス反応を引き起こします。
<生活環境ストレッサー>
生活環境から受ける刺激・出来事のほとんどが生活環境ストレッサーです。
人間関係・生活環境など
<外傷性ストレッサー>
災害や事故など、その人の生命や存在に影響を及ぼす強い衝撃をもたらす出来事を障害性ストレッサー
外傷性ストレッサーによる体験を外傷(トラウマ)体験と呼びます。その体験による精神的な変調をトラウマ反応と呼んでいます。
<心理的ストレッサー>
人間は現実的に遭遇していない出来事であっても、「~するかもしれない」「~したらどうしよう」と様々に考えています。この考えがストレスとして作用してしまいます。
ストレス反応は必要なのか
ストレッサーによって引き起こされるストレス反応(行動や症状)は、どうして起こるのでしょうか。ストレス反応はない方が心身の負担がないので良いのに・・・
ストレス反応は、長時間ストレッサーの刺激を受けた場合や、強いストレッサーを受けた時に生じる生体反応。
これは、ストレッサーに対する生体の自然な適応反応と考えられているのです。
つまり、ストレス反応は、ストレッサーという異常な状態に対する正常な反応なのです。心身の防衛反応ともいわれている反応。ストレッサーの種類に関係なく、心身に同じ反応が起きること、また、その症状が全身に及ぶことから「汎適応症候群」とも呼ばれています。
ストレス反応は、自律神経やホルモンが関係して心身の防御反応を引き起こしています。それが正しい反応であっても、過剰に起こる場合や安定が遅い場合には「自律神経失調の乱れ」と考えられます。
ストレス反応の種類
心理面の反応
情緒的反応として、不安、イライラ、恐怖、落ち込み、緊張、怒り、罪悪感、感情鈍麻、孤独感、疎外感、無気力などの感情が現れる。
心理的機能の変化として、集中困難、思考力低下、短期記憶喪失、判断・決断力低下などの障害が現れる。
行動面の反応
心理面の反応は、行動面の変化としても現れる。
怒りの爆発、けんかなどの攻撃的行動、過激な行動、泣く、引きこもり、孤立、拒食・過食、幼児返り、チック、吃音、ストレス場面からの回避行動などが現れる。
身体面の反応
動悸、異常な発熱、頭痛、腹痛、疲労感、食欲の減退、嘔吐、下痢、のぼせ、めまい、しびれ、睡眠障害、悪寒による震えなど、全身にわたる症状が現れる。
ストレッサーに対する反応には個人差があります。同じ状況でもすべての人が同じ症状や反応を示すわけではありません。
ストレス対策
ストレス反応はストレッサーに対する心身の防御反応ですから、心身の危険を感じないリラックスできる状況や環境を築くことによって打ち消していくことができます。
ストレス対策には、リラックス反応を高めればよいのです。
対策1
リラックス反応は、疲労を回復し、新たなエネルギーを取り入れるメカニズムがあります。その反応を高める最も良い方法は、睡眠です。
睡眠障害を持っている方は、ストレッサーに対して過剰に反応する傾向がありますので、睡眠障害の改善を優先いたしましょう。
睡眠障害がない方でも、自身の欲求(1時ごろ寝ればよい)と身体の欲求(11頃寝てほしい)にずれがある場合は、身体はストレスを感じ蓄積されることでストレス反応が現れてきます。
生活リズムを整えて、なるべく決まった時間に床につくき、決まった時間に起床できるように意識しましょう。
対策2
当たり前のことですが、ストレッサーを取り除く。
脅威となるストレッサーを取り除くことや軽減させることでストレス反応は必ず軽減します。しかし、このことが困難なためストレス反応を引き起こしてしまっているとも考えられるため、解決策の一つとして、自分だけで解決しようとしないで身近な人や理解ある方に協力を仰ぎ、一緒に解決できるように工夫してみてください。
対策3
ストレスを感じないがストレス反応を示している方にお話ししているのが、「ストレッサーの認知」。
自分の体調を乱しているストレッサーを認知・意識できていなければ対処法が見つかりません。体調を乱す原因のストレッサーは「これなんだ!」と認めることが大切です。
漢方相談でカウンセリングを行った後、お客様から
・聞いていただいてスッキリした
・いろいろ話して、原因がはっきりした
・今まで言えないで我慢していた
・聞いてもらっただけで、調子が良くなってきた
と感想を頂きます。これは、ストレッサーが何かに気づいたこととリラックス反応が強くあらわれた結果です。
一人で悩んでいても、長い間の悩みが偶然に改善されることは少ないので、いろいろな人に相談してより良い解決策を見つけていくことが大切です。
対策4
自己評価を変える。内的基準に変える。
自信がない人、物事を否定的にとらえる人は、ストレッサーをより高い脅威として認知します。物事の捉え方や自信などの自己の能力の評価などの認知的評価を修正することが大切です。
内的基準や外的基準という言葉を聞いたことがあるでしょうか。自分の行動・判断や意思決定に何を基準にしているかという事です。
内的基準にしている方は、物事の判断に自分自身で意思決定し行動できますが、外的基準の方は自己評価が低く、自分以外の人(主に親・兄弟、友人)や外部情報の判断がないと行動がうまくできません。
写真の方は、Dr.エリク・ホーンブルガー・エリクソンで発達心理学者・精神分析医です。
Identity crisis(アイデンティティの危機)
という概念の生みの親です。
自分が自分であることに自信がない、これは優先順位をつけないで生きているために自分に自信がない状態。優先順位を外部にゆだねてしまった結果です。
自分を見つめ、自分のために生きるように考えてみてください。自分を正確に評価できるのは他人でなく自分自身なのですから
自己評価を高め自信を持つことで、ストレッサーからの脅威を軽減することは可能です。
最後に、ストレス反応はコントロールすることが可能であると理解してください。
ダーウィンの進化論で有名なチャーチルズ・ダーウィンの言葉をご紹介します。
「最も強いものが生き残ったわけでもなく、最も賢いものが生き残ったわけでもない。唯一生き残れるのは変化できるものであった」
現状を変えよう、体調を整えたいという考えがあれば必ず変わります。
参考資料:文部科学省HP「CLARINETへようこそ」
フォレスト出版「すごい無意識」著者:梯谷幸司
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