むずむず脚症候群の漢方対策
- 2019.11.14
- 疾患別漢方治療
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)のお悩みの方に、漢方中医学での原因や対策についてご紹介いたします。
レストレスレッグス症候群
安静時や睡眠に入る前、睡眠中に脚がむずむずする、ほてる、虫が這っているかのような嫌な感じがあるなどの異常感覚を伴い、足を動かすと和らぐので足を動かしたくてたまらなくなる衝動に駆られる疾患。
夕方から夜間にかけて症状が現れやすく、睡眠の妨げになることで睡眠障害を起こして精神疾患に発展することもあり、QOLの低下が問題となる疾患です。
診断基準
1.脚を動かしたいという強い欲求が存在し,また通常その欲求が,不快な下肢の異常感覚に伴って生じる
2.静かに横になったり座ったりしている状態で出現、増悪する
3.歩いたり下肢を伸ばすなどの運動によって改善する
4.日中より夕方・夜間に増強する
(日本神経治療学会/標準的神経治療:Restless legs症候群より抜粋)
年齢による有病率では、様々な調査を行っていますが年齢だけの要因で有病率が変化することはないと考えられています。
しかし、性別では女性の方が男性よりも明らかに有病率が高く、妊娠期に症状を訴える方が多い特徴があります。
また、他の疾患によって発症することもあるため、まずは医師に他の病気がないかどうかを調べていただきましょう。
西洋医学での治療は、他の疾患がなければ非薬物療法で生活習慣の改善から様子を見て、変化がなければ薬物療法の併用となります。
漢方中医学のとらえ方
”むずむず脚症候群”は、中医学では五臓の「肝」、気血水の「血」と関係が深いと考えます。
五臓の「肝」は血液を巡らす大切な臓で、その他に血を貯蔵し、筋を滑らかに動かし、目の働きを調整しています。
”むずむず脚症候群”が発症する中医学的原因は、肝の機能の低下と血の不足が考えらます。
血の不足を中医学では”血虚(けっきょ)”とよびます。
血虚については、こちらのページをご覧ください。
「肝」の働きが低下するきっかけの多くは「ストレス」が最も関係し、次に疲労、飲酒、薬物、睡眠不足などがあります。
「血」の不足や働きの低下は、「血」の生成力の低下の原因となる胃腸障害や摂食障害、栄養不足と「血」の消耗が増える月経期、妊娠期、出産、授乳、肉体疲労、出血などです。
漢方治療
漢方治療では、まず「血」を補うことが大切ですが、胃腸の調子が良くない方の場合は胃腸の調子を整える漢方薬と血を補う漢方薬を併用することが必要です。
血を補う漢方薬の基本処方は「四物湯(しもつとう)」ですが、この処方だけで対処することは少なく、他の自覚症状をみて、十全大補湯・加味逍遥散合四物湯・帰脾湯・イスクラ婦宝当帰膠・血府逐瘀丸・当帰芍薬散・抑肝散などを処方していきます。
漢方治療では一つの症状だけで「この処方!!」と決めつけることは良くないことで、中医学では人間の身体全体を一つとしてとらえているため、全身症状(全体像)からその方の問題を探り整えていくことが大切なのです。
漢方薬を服用する際には、お悩みの症状と全身症状・体質をしっかり問診していただけるところで選んでいただきましょう。
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