めまいの漢方治療
めまい(眩暈)の「眩」は目がくらむこと、「暈」は頭がふらふらすることです。この2つは同時に現れることが多いため「眩暈(めまい)」と総称します。
眩暈は、患った方でないとその症状の特徴は外見では判断ができません。そのため、漢方相談で詳しくお伺いすることで眩暈を起こしている体質を見極めるていく必要がある疾患です。
眩暈の種類
めまいのご相談では、その特徴を捉えることが大切です。あなたの眩暈はどんな特徴がありますか
□ まっすぐ歩けていない
□ 回転性で、ひどい時には吐気・悪心が伴う
□ 立ち上がった時に、くらくらする
□ 首を動かすと起こる
□ 頭痛、肩こり、耳鳴りなど他の症状とともに現れる
□ イライラした時やストレスを感じた時に起こりやすい
□ 月経前に起こりやすい
□ 動いているものを見ると起こる
□ 冷えると感じる
いかがですか。他にも様々な表現がありますが、ご相談のお客様がよく言われる表現を挙げてみました。
中医学から見るめまい
眩暈には様々な状態がありますが、中医学では大きく4つに分類して整理します。
肝陽上亢タイプ
肝陽上亢とは、五臓の「肝」の乱れの一つで、肝の「陰液」が不足して「陽気」を抑えることができなくなっている状態。
・船に乗っているような眩暈
・フワフワする感じ
・ほてりやカラダの熱感がある
・のぼせ、ほてり、ねあせがある
・ストレスにより発生しやすい
・血圧の上昇、心拍の興奮で発生しやすい
・頭痛、耳鳴り、肩こりなどがある
・春に症状が悪化
よく使われる漢方薬
抑肝散・抑肝散加陳皮半夏・釣藤散・天麻釣藤飲加減・鎮肝熄風湯
体質的特徴
この体質の方は、ストレスをためやすい傾向であったり、心配事や悩みが長く続いている方に発生しやすく。五臓の「肝」が弱いので、筋肉のけいれんやこわばり、肩こり・頭痛、目の症状(かすみ目・ドライアイ・視力減退)が普段から起こりやすい傾向にあります。また、月経周期に影響されることもあり、イライラすることも。
気血両虚タイプ
気血両虚は、胃腸虚弱・慢性病による「気血」の消耗が主な原因となります。
・立ちくらみ
・元気がない、疲れやすい
・貧血
・動悸・息切れ
・顔色が悪い
・爪がもろい
・冷え、むくみ
・睡眠障害
・不安障害
・起立性調節障害
よく使われる漢方薬
十全大補湯・帰脾湯・八珍湯・婦宝当帰膠
体質的特徴
この体質の方は、虚弱体質タイプが代表ですが、筋肉質の方でも大病によって「気血」の大きな消耗が起こりこのタイプになることもあります。無理なダイエットや糖質制限によって起こることもあります。
腎精不足タイプ
腎精不足は、五臓の「腎」における「陰」「陽」「精」の不足によって発生します。
・頭がボーとする
・耳鳴り、難聴
・目のかすみ
・足腰がだるい
・夜間尿
・頻尿、乏尿
・目のかすみ、眼精疲労
・足腰の冷え
・過労、加齢
よく使われる漢方薬
六味地黄丸・杞菊地黄丸・八味地黄丸・牛車腎気丸・冠元顆粒
体質的特徴
腎の働きの低下は主に、加齢や過労によってあらわれる状態です。また、前述の肝陽上亢タイプは腎精不足を誘発しやすいので症状が多岐にわたることもあり、肝陽上亢に使用する漢方薬と併用することがあります。腎の低下はなるべく早めに対策をすることがとても大切です。
痰濁中阻タイプ
内外から発生した「湿」の邪が長く停滞することによって「痰飲」というものに変化し、五臓の生理機能に異常を引き起こすことで、主に水分代謝機能の低下が起こります。
・回転性のめまい
・乗り物酔いしやすい
・悪心、嘔吐
・頭を動かすとひどくなる
・寝つきが悪い
・むくみ、冷え
・食欲不振
・胃腸虚弱
・下痢
よく使われる漢方薬
加味温胆湯・竹茹温胆湯・半夏白朮天麻湯・苓桂朮甘湯
体質的特徴
湿邪が発生しやすいタイプは、胃腸が弱く、冷え症、やせ型が多いのですが、水太りタイプの方もこの眩暈が起こります。湿度の高い場所でのお仕事や梅雨時や台風など環境の変化による症状の増悪が見られます。
眩暈はその他にも、瘀血(血の滞り)や血熱など他の病態に伴って現れることもあります。弱っている体質を整えて、つらい眩暈を改善していきましょう。
-
前の記事
花粉症対策はお早めに 2020.01.13
-
次の記事
体調不良を改善するために大切なこと 2020.01.30