既存の病気の予防「既病防変」
「未病先防」に続き中医学の重要な考え方「既病防変」についてご紹介いたします。
「未病先防」では、病気になる前の未病の段階で対策をとることが大切であるというお話を紹介いたしました。今回は「未病」の段階を超えてしまい、発病した時の中医学の考え方をお伝えいたします。
天人合一(てんじんごういつ)
西洋医学と中医学との大きな違いは、病気に対して「点」で対応するのか「面」で対応するのかの違いと考えます。
西洋医学は、病気の発生をピンポイントでとらえ「点」の問題として対処します。一方中医学ではからだは自然界からの影響を受ける存在であり、人の身体も内部で様々な影響を受けあいながら存在しているという考えから、病気を局部だけの問題ととらえるのではなく、広く全体的にとらえようとしています。
そのため、漢方相談では病気の状態だけをお伺いするのではなく、食欲、睡眠、精神面、排便、排尿、月経など身体全体的を理解することが大切です。
早期発見早期治療
国立がん研究センター(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/annual.html)の統計によると
「人口の高齢化の影響を除いた年齢調整率で見ると、がんの死亡は1990年代半ばをピークに減少、罹患は1980年代以降増加している。」と発表しています。
癌だけではなく、高血圧、糖尿病などの生活習慣病は早期に治療を開始するほど悪化や合併症を防ぐことが可能です。
中医学では、身体を構成している要素を「五臓(肝心脾肺腎)」に分けて考え、病気の進行過程には病気により特有の進行過程(五臓間の関係性)があるため、今後どのような病状へ進むのかを的確に把握することで前もって対処し悪化を防ぐことができます。
再発防止
中医学では「未病先防」が大切です。病気が治ったから安心ではなく、一度かかった病気は他の病気にかかるよりも再発する方が容易であると考えています。
「既病防変」は、病気になっても再び繰り返さないように、悪化させないように、生活習慣や体質を整えて「未病対策=養生」をしていきましょうということです。
中医学では、冬病夏治(とうびょうかち)「冬の病気は前の夏から治療開始」、春病冬治(しゅんびょうとうち)「春の病気は前の冬から治療開始」という考えがあります。
2月、3月の花粉症で毎年悩まれている方は、秋の10月ごろから。4月に自律神経の乱れで体調を崩しやすい方は12月ごろから予防をして備えていきましょう。
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