いきいき元気 第4回「未病の原因」
未病・病気の原因はすべて「ストレス」であると、私は決めつけていますので、そのことを前提にお話ししてまいります。
健康から未病への流れ、そして病気になる原因。未病の原因5つについてお話していきましょう。
未病になるのは
「未病」であるというのは、病名はつけられないけれども体調に何らかの不快な症状や精神不安がある状態を指しています。この不快な症状を「取り除きたい」「軽減させたい」と努力をしますが、本当にそれだけでよいのでしょうか。
身体にあらわれる様々な症状や精神状態は、そのものが原因ではなく結果であることを知ってください。
以前のブログ(病気を改善する5つの生活習慣③)でもご紹介いたしましたが、ハンス・セリエ名誉教授が29歳の時に提唱したストレス理論の中で次のように定義しました。
つまり、私たちの体に起こる生理現象(例えば、頭痛、肩こり、むくみ、食欲不振など)や精神的反応(イライラ、不安感、恐怖など)は、様々なストレスに適応しようとした結果の正常な反応といえるのです。
よって、未病の原因は、様々なストレスにうまく適応できなくなっている体質や環境に問題があると考えなければいけません。症状にばかりとらわれていて対症療法を繰り返すことで体質や環境に変化がなければ、未病から病気になるのも時間の問題です。
病状にばかり目を向けるのではなく、どうしてそのような状況になっていったのか、どうすると悪化するのかなど、過去や今までの経過をよく観察し分析することが本当に改善しなければならないところにたどり着くのです。
未病の原因とは
前述したように、未病の原因はストレスです。
病気の原因は未病の蓄積です。
ストレスの発生には大きく分けると次のような生活習慣の中から発生します。
・心の問題
・食生活
・運動や活動
・休息(睡眠やリラックス、気分転換)
・環境(生活リズムや生活環境、自然現象)
なんとなく思い当たるなと感じていただければ幸いです。
心の問題
心の問題は、誰にでも必ず経験する問題です。失恋、最愛の人との別れ、職場の人間関係、価値観の違いなど自分だけの問題ではないため、多くの方が解決できないままその悩みを抱えています。
これは、日本人の気質が生んだものではないかと感じていることですが、
・生真面目さ
・規律を重んじる
・他人への敬い
・完璧主義
日本人の良さでもあるのですが、これがあだになっているのではないかと思っているのです。問題解決において特に精神的な悩みについては「完璧」を求めてはいけないのです。
アップルコンピューターの創業者の一人、スティーブジョブス氏をご存じでしょうか。この方のスタンフォード大学卒業式でのスピーチは有名で感銘を受けるところが多くあります。その中の一文をご紹介いたします。
スティーブ氏がすい臓がんと診断され、余命を告知されましたが、それを克服して死を感じたことで次のような言葉を卒業生たちに送りました。
あなた方の時間は限られています。だから、本意でない人生を生きて時間を無駄にしないでください。ドグマにとらわれてはいけない。それは他人の考えに従って生きることと同じです。他人の考えに溺れるあまり、あなた方の内なる声がかき消されないように。そして何より大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。あなた方の心や直感は、自分が本当は何をしたいのかもう知っているはず。ほかのことは二の次で構わないのです。
「Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life. Don’t be trapped by dogma -which is living with the results of other people’s thinking. Don’t let the noise of others’ opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary.」
(スティーブ・ジョブズ氏が2005年6月12日、スタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチ原稿の翻訳抜粋:「日本経済新聞」より転載)
悩みを一人で抱え込んで完璧に解決しようとしないでください。逆に人に相談してその人のアドバイスだけに従い行動することもやめてください。ただ悩みを打ち明けてるだけでよいのです。
食事の問題
このことについても以前のブログ(病気を改善する5つの習慣①)でご紹介していますのでそちらも併せてお読みいただけると幸いです。
食の問題は近年、食育という言葉も流行したように食へのこだわりや理論など様々な啓発活動が行わてれ、良い意識づけになっていると感じています。
私たちは生き続けるために必ず食事をしています。その食事の内容で体調が変化することは容易に想像できます。
自分ではよいと思っている食習慣が実はからだのバランスを乱しているかもしれません。食事の基本は、季節に合った食材でお住まいの地域で育ったものを選ぶことです。体に合わない食事やリズムがストレスとなり未病へとつながります。
最近、お知り合いになったお客様が薬膳茶房 「華摘(かつみ)」を運営されていて、薬膳のお話や漢方理論のお話ができるのでとても勉強になります。季節の食養生などのお話も伺えますので是非、一度足を運んでください。(毎週、水・木のみ営業、午後1時から6時、予約制)
運動
私たちの体は、多くの筋肉組織で支えられています。特別な運動をしていない限り日常生活を営む上では必要とされている筋肉のみが維持され、使われていない筋肉は衰退しています。
そして加齢とともに筋力は低下し、今まで維持していた筋肉さえも弱っていきます、必ず。
弱ることがわかっているため弱まっても自分の足で歩けるように、動けるように日々予防することが大切です。うまく歩けなくなってから筋力をつけようとしても無駄ではないですが、予防して筋力をつけていたらよかったと必ず思うはずです。
後悔しないためにも、自分に合った運動を取り入れていきましょう。未来のために
休息(睡眠やリラックス、気分転換)
休息は、活動したことによるストレスを解消するために必ず必要です。
しかし、うまく休息できないことがストレスを解消できないばかりでなく、眠れない・リラックスできないということがストレスとなり、身体のバランスを乱してしまい悪循環に。
睡眠バランスの乱れは、私も経験しましたがその時は何とかしたいともがいていました。克服方法は人によって対処法が違いますので次のブログを参照ください。
休息やリラックスする時間は疲れたから取るのではなく、疲労があらわれないように休息の時間を作る必要があります。これも予防です。
環境(生活リズムや生活環境、自然現象)
環境によるストレスというのは、地球温暖化による異常気象、地殻変動による地震、ウイルスの蔓延などがありますが、自身の生活習慣や生活環境もストレスとなっているケースがあります。
全世代の中で健康である世代は、どの世代だと思いますか。
おそらく多くの方が『10代』と答えるのではないでしょうか。その理由は何でしょうか、若いからもありますが生活習慣が安定していて脳、筋肉、呼吸器などしっかり躍動させているためだと私は思います。
身体の機能を生かし、生活習慣を安定化させられる環境を作ることが環境によるストレスに適応することにつながります。良い生活習慣を送る意識を持っているだけでも変わります。ぜひ見直してみましょう。
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