薬酒を造る
- 2020.07.09
- 薬膳・養生

漢方調剤に使用する生薬は、煎じたときに成分が出やすいように細かく刻まれた状態のものを使用しますが、薬膳料理や薬酒などに利用するときには原形のままか大きく刻んだものを使用します。
今回、注文するときに誤って大棗(たいそう)を原形で仕入れてしまい、処理方法に悩んだ結果。薬酒を造ることに決めました。
その工程をご紹介いたします。
処方の選定
薬酒で有名なのが、「周公百歳酒」
不老長寿、強精、美容、疲労回復、風邪の予防に効があり、古来より伝わる有名な薬酒です。
漢方中医処方は中医学理論に基づいた生薬の構成なので、中医処方の中から選定することに決めます。
次に、処方の目的なのですが、未病対策として考えていきたいので、
①「瘀血(おけつ)」対策の活血剤(血管強化、血液サラサラ、微小循環改善)
②「補気(ほき)」「補血(ほけつ)」気血を補い滋養強壮
③「衛気(えき)」を補い感染症予防
④「大棗」を使用する
これら4つを考えた結果。
①冠元顆粒
②人参養栄湯
③衛益顆粒
④大棗
で作ることに決定
生薬の分量
基本となる処方の5日分の分量を基本に計量。
ベースとなる人参養栄湯(にんじんようえいとう)
左上から右に
・人参 15g
・当帰 20g
・芍薬 10g
・地黄 20g
・白朮 20g
・茯苓 20g
・桂皮 12g
・黄耆 20g
・陳皮 10g
・遠志 10g
・五味子 5g
・甘草 5g
次に冠元顆粒の成分
・丹参 20g
・センキュウ 10g
・紅花 5g
・木香 5g
・香附子 5g
・芍薬(人参養栄湯に含まれているため計量なし)
だいぶ手ブレしていますが、左が衛益顆粒の成分の一つ「防風」、右が絶対使用したい「大棗」
以上19種類で造ることに決定。
残念なことに、大棗は15gしか使用していないため、残り385g(100gはお客様に差し上げ)と残っている・・・・・・。別の使い道を考えなければ。
いざ容器へ
計量した生薬を容器へ入れていきます。
その前に、容器は水洗いしてホワイトリカーで共洗いして準備完了。
生薬を投入後、ホワイトリカーを少しずつ入れいっぱいになる前に、蜂蜜を約200g入れて完了です。
あとはこれを冷暗所にて保存し、一週間に1回くらい撹拌して2~3か月後に味見を予定。
薬酒原料販売
薬酒を自分も作りたいという方は、欲しい生薬があればグラム販売いたします。漢方処方の内容でほしい場合は今回のように5日分であれば、3、000円(税抜)で販売いたしますのでお気軽にご相談ください。
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