漢方薬の選び方#1「漢方治療の考え方」【基礎編】

漢方薬の選び方#1「漢方治療の考え方」【基礎編】

「自分に合った漢方薬を知りたい」
「高血圧や糖尿病にはどんな漢方薬がいいの」
「中性脂肪を下げる漢方薬は何か」
「痛みにいい漢方薬は何」
などと様々なお悩みを改善するための漢方薬をどうやって選んでいるのかを分かりやすくご紹介していきたいと思います。お伝えする情報が多いため、何回かに分けてお送りいたします。最新情報・ブログ更新情報はtwitterでチェックしてください。

漢方治療の考え方

何事においてもそうですが、物事を解決するために必要な道具はその目的に合ったものでなければなりません。例えば、ネジを外すためにドライバーが必要です。ドライバーはみなさんご存じのようにプラスとマイナスがあります。プラスのネジに無理をすればマイナスドライバーも使えるかもしれませんがネジ山を壊してしまう可能があります。またネジ穴の大きさによって適切なドライバーのサイズが決まっていますので、しっかりあったものを使うことがスムーズに外す(締める)正しい方法です。

同様に、漢方薬も作用する目的があってその目的に合っていない場合は、思った結果が得られないばかりでなく、間違った結果をもたらす危険もあります。

そこで知っておいていただきたいことがあります。

漢方薬は、「病名に対して使用するのではなく、個体差(体質)と症状を引き起こしている原因に対して使用するもの」と覚えておきましょう。

例えば高血圧を改善したい場合、漢方治療の目的は血圧を下げることだけが目的ではなく、その人の生活習慣や体質などから、血圧が上昇している原因を考え、改善する漢方薬を選択する必要があるのです。

その為、漢方医学では個別の体質を詳しく分析する必要があるため、問診・カウンセリングを重要視しているのです。

 

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病気になる原因

漢方治療の目標が病気や症状そのものではなく、体質や原因であることをご説明いたしましたが、病気になる原因について漢方医学ではどのようにとらえているのかをご紹介いたします。

例えば、風邪(かぜ)は誰もが患うウイルス感染症ですが、自然に良くなる疾患であることも皆さんよく知っています。

風邪そのものの原因となるものはウイルスです。中医学ではこのウイルスを「病邪」の一つと考えています。そして、もう一つの原因は体質(個体差)にあります。風邪は誰もが患う疾患ですが、近くに風邪の人がいるからといって必ず感染すると言い切れるものではありません。

漢方医学では、風邪にかかりやすい人とそうでない人の違いを「体質」の違いと判断します。また、同じウイルスにかかったのであれば同じ症状が現れるはずですが、個体差によってその症状の現れ方が違っていることに気づかれる方もいるのではないでしょうか。それも「体質」の違いとなります。

漢方医学では、病気の原因は「病邪」と「体質」にあると考えています。

 

「扶正袪邪(ふせいきょじゃ)」で病気に打ち勝つ

次回は、#2-1「病邪と体質」についてお送りいたします

漢方薬の選び方#2-1「病邪と体質」