胃の中でチャポチャポ音がする

胃の中でチャポチャポ音がする

食欲不振・食後眠くなる・胃の中でチャポチャポ音がする・倦怠感などがある場合は、胃内停水(いないていすい)と呼ばれる状態になっていると考えられます。

脱水や熱中症対策、健康のために水分補給を行うことはとても大切なことでありますが、その水分が停滞することによって却って体調を崩してしまうこともありますので注意が必要です。

溜飲(胃内停水)
主に脾の運輸が悪いために胃中の水分を吸収できず、胃内に水飲が停積して胃気の和降が障害される病態である。飲証である
「第2版 中医学入門P.240(医歯薬出版株式会社)」

胃内停水の発生原因と対策

①過剰な水分の補給
夏場に汗をかかないで水分ばかり補給してしまった場合は、水分代謝が追い付かなくなり、胃内に水分が停滞します。
【対策】適度に体を動かして汗をかくようにしていきましょう。また、水分補給は一気に補わずに少しずつ補給しましょう。

②冷たい物の飲み過ぎ・食べ過ぎ
冷たい物は、胃を冷やしてしまい、脾胃の働きの低下を引き起こし、水分代謝・消化機能が弱くなります。
【対策】そうめんや冷奴、冷やし中華など冷えた食べ物を食べるときには、ネギやショウガなどの薬味をしっかり使って、一緒に取る水分は温かいものに切り替えていきましょう。

③もともと脾胃が弱い
もともと脾胃(胃腸)が弱いと感じている方は、脾胃での水分代謝も弱い傾向である場合が多く、また年齢とともにその機能は低下してきます。
【対策】①、②参照

④ストレス
脾胃の働きを低下させる原因には、他の臓腑からの影響もあります。とくに五臓の「肝」は、ストレスや自律神経の調整と深くかかわりがあり、そこの乱れが脾胃の働きに影響を及ぼします。
ストレスは必ずあるもの(必要なもの)ですが大きすぎたり蓄積することが乱れる原因となります。 
【対策】からだを動かす、しゃべる、歌う、笑う、怒る、泣くなど様々なストレス解消方法があります。自分が心地よいと感じる空間や時間、リズムを作るように心がけていきましょう。

⑤便秘
便がコロコロ状態の方に起こりやすい傾向があります。便の排泄がスムーズでないことによって脾胃から水分がリズムよく降りることができなくなることで脾胃に水分が停滞してしまいます。
【対策】規則的な排便習慣を作りましょう。

五臓六腑の「脾胃」について

中医学では、「胃」は六腑のひとつで飲食物を消化して「栄養物質(中医学ではこれを「清」といいます)」に変える役割と栄養物質以外の不要な物質(中医学ではこれを「濁」といいます)を大腸へ流していく働きがあります。

五臓の「脾」は消化器系等の働き全般をさし、飲食物を胃や小腸を通して消化・吸収させ、それによって得られる「栄養物質」を全身に運搬する役割があります。

水の流れ

固形の栄養物質以外の液体状の栄養物質は、五臓の「脾」から「肺」へと送られてから全身をめぐり、各臓腑で利用され膀胱へ送られて排泄となります。そのほか、胃から小腸に送られて、吸収され全身をめぐるか膀胱へ送られ排泄されます。

中医学では体で利用される水を津液(しんえき)と呼んでいます。津液は皮膚、毛、臓腑、目、口、鼻、耳、舌などに潤いを与え、他にも関節、靱帯などの筋や筋肉にも潤いを供給することで体が滑らかに動くように働いています。

さらに、津液と血はお互いに変化し依存しているため、他方が不足するともう一方も不足してしまいます。

夏の養生

夏は暑く体力が消耗します。これは気と津液が消耗するためです。暑さから逃れるために部屋を涼しくして冷たい物をとってしまいますが、前述したように脾胃の水分代謝が悪くなることで、胃内停水や脾胃の機能の低下を引き起こしてしまいます。

夏場は旬の野菜や穀物を中心にして、動物性たんぱく質を適量とり、消化の良い食事を心がけてください。

涼しい部屋で過ごすことが多い方は、発汗機能が低下することで夏バテ・熱中症になりやすいため、2時間に1回お部屋の空気を入れ替えて体を動かして、発汗させてあげましょう。

漢方薬で改善

漢方薬での対策には様々な方法があります。水分の停滞をただ単に取り除くだけではなく、水分の停滞を引き起こしてしまっている体質を整えることで同じ症状が繰り返しにくくしていきます。

同じ状態であっても体に合った漢方薬は人それぞれ違いがあります。必ず体質チェックをして根本的な原因を突き止めていきましょう。