煩わしい咳を止める「麻黄が配合されている咳止め」の種類と使い分け(感冒後咳・コロナ後遺症咳嗽対策)

煩わしい咳を止める「麻黄が配合されている咳止め」の種類と使い分け(感冒後咳・コロナ後遺症咳嗽対策)

のどの痛みを伴う風邪を患った後、
・のどの痛みや熱は改善したのに「咳」だけが残っている。
・日中は大丈夫だが夜、床につくと「咳」が強くでる
・日中、温度の変化や匂い、ホコリなどで「咳」がでる
・のどに痛みはないが喉に違和感を感じて「咳」がでる
と風邪症状後に「咳」が残ることがあります。これを感冒後咳(PIC:postinfections cough)と言います。

コロナ感染後に咳が残るのも同様のケースと考え当店では対応させていただいております。
その時に使用する咳止めとして「麻黄が配合されている漢方薬」の種類と使い分けをご紹介いたします。

咳に使う代表漢方薬

 

麻黄湯は葛根湯のベースとなっている処方で、「マオウ、ケイヒ、カンゾウ、キョウニン」の4種類で構成されています。

・麻杏甘石湯は、麻黄湯ケイヒセッコウに変更された処方。
・五虎湯は、麻杏甘石湯ソウハクヒを加えた処方。
神秘湯は、麻杏甘石湯半夏厚朴湯を合わせた処方。(麻黄湯にコウボク、ソヨウ、サイコ、チンピが加味しケイヒを除く)
イスクラ麻杏止咳顆粒は、麻杏甘石湯桔梗湯を加えた処方。(麻杏甘石湯に、キキョウ、タルク、チンピが加味)

咳に使われる漢方処方は上記以外にも、麦門冬湯・清肺湯・滋陰降火湯・養陰清肺湯など様々ありますが、今回は「麻黄(マオウ)」を使用している咳止めについてご紹介させていただきます。

生薬・効能解説

麻黄(マオウ)

マオウの主成分は「エフェドリン」。これは気管支拡張作用があるため市販の風邪薬(咳止めとして)によく配合される成分です。(例:新コンタックかぜ総合
中医薬では「辛温解表薬(しんおんげひょうやく)」に分類され
①体表面を温め発汗によって「邪」を外に追い出す働き
②咳止め
として配合されています。

杏仁(キョウニン)

アンズの種、咳止め効果のほかに潤腸作用という腸を潤して便通をよくする働きがありますが、上記の処方内では麻黄と組み合わせることによって咳止め・痰切りの効能を発揮します。

桑白皮(ソウハクヒ)

桑の根の皮で、麻黄同様に咳を鎮める働きと熱を抑える働きがあるので、五虎湯は麻杏甘石湯の証であるが、よりが咳が激しい場合に用いられます。
昔は、子供の咳には麻杏甘石湯よりも五虎湯がよく効くと教えられました。子供の方が炎症が激しく咳も強いので桑白皮が配合されている方がいいでしょう。

ダスモックは清肺湯という処方のことですが、この処方にも桑白皮が加えられています。清肺湯は桔梗・麦門冬・杏仁など様々な生薬が配合され感冒後の咳にも有効で、麻黄が含まれていませんので化痰をメインとして痰が多く切れにくい場合に適応となります。

桔梗(キキョウ)

桔梗は、消炎・鎮咳作用があるので、特にのどが痛く腫れてしまった場合、その後遺症に適しています。同時に気管の分泌を促し痰を切れやすくしてくれます。
麻黄が配合されていない処方で、桔梗を消炎・鎮咳・化痰として配合されている処方は、桔梗湯、小柴胡湯加桔梗石膏、桔梗石膏などがあります。

石膏(セッコウ)

石膏は強い解熱作用があり持続効果もあるので、激しい炎症(インフルエンザやコロナによるのどの炎症)には有効な成分です。
桔梗や甘草と組み合わせると相乗効果が得られますので炎症が激しかった場合にはより有効成分です。

皮膚炎など炎症が激しい時や熱中症で熱が激しい時などは石膏が配合されている「白虎湯」を使用します。また糖尿病で口渇に対して「白虎加人参湯」を使用することもあります。

厚朴(コウボク)・蘇葉(ソヨウ)

厚朴は行気薬(こうきやく)に分類され、気の滞りを取り除くので、半夏厚朴湯の「のどに異物感」とは、のどにある気の滞りを取り除く厚朴の効能になります。気の滞りに使用するので、実際に食事をした時やつばを飲み込んだ時にのどに引っかかるのであればそれは気の滞りではありませんので、消炎作用・化痰作用のある桔梗や石膏が配合されている処方を選択します。これら2つの生薬の組み合わせは、心因性の咳に有効なので咳が激しい場合や痰が切れにくい場合にはやはり他の処方の方が適応となります。

チックで咳が出る場合や緊張すると咳が出る場合などには「半夏厚朴湯」がお勧めです。

まとめ

今回紹介した処方は「麻黄(マオウ)」が配合された咳止めとなります。

・「麻杏甘石湯」の証で咳が激しい場合には「五虎湯」
・心因性の咳が関係している場合には、「神秘湯」または「半夏厚朴湯」
・喉の腫れやイガイガが残っている場合には桔梗湯や桔梗石膏を五虎湯または麻杏甘石湯と一緒に服用又は、「イスクラ麻杏止咳顆粒
・痰が切れにくい場合や乾燥している場合には「麦門冬湯」「清肺湯」と一緒に服用
 
実際に漢方薬を服用の際には、漢方専門の相談員・薬剤師・医師にご相談して自分の症状に合った漢方薬を選んでもらいましょう。

補足

感冒後の咳は気管の炎症のあとの「傷」が残っていて、自律神経や物理的なことが「傷」を刺激することによって咳がでていますので、基本的な治療は傷の再炎症を防ぐために消炎作用のある処方と傷の治りをよくするために潤す(潤肺)作用のある処方を組み合わせると効果的です。

近くに漢方薬局がない、専門家を知らないという方は喉を潤す飴(はちみつキンカンのど飴)やキンカンを砂糖で煮込んで食べてみてください。あまり声を使わないようにいたしましょう。