梅核気(ばいかくき):のどになにか詰まっている感じがする、イガイガする、飲み込んでも取れない

梅核気(ばいかくき):のどになにか詰まっている感じがする、イガイガする、飲み込んでも取れない

・のどがイガイガする
・締めつけられる
・何か物があるようなひっかかりを感じる
・呼吸はできて、食事もしっかり喉を通るのだが、何となく飲み込みにくい
・検査しても異常がない
・気になって寝付けない、集中できない
など喉に何かしらの異物感や圧迫感を感じて、様々な検査をしても異常が見つけられないものを総称して
「咽喉頭異常感症」「ヒステリー球」
と西洋医学では呼んでいます。

中医学ではこれを
「梅核気(ばいかくき)」と呼びます。
咽喉部又は胸骨の裏あたりに、桃の種が詰まっているように感じる異物感や刺激感のことで、個人によって感じ方が違うためその表現もさまざまです。

原因

ストレスによって自律神経のバランスが乱れて発生していると考えられていますが、詳細なメカニズムはわかっていません。

中医学では、七情の乱れがきっかけとして、「気」を巡らせる「肝」の働きが停滞(気滞)することで、他の臓腑である「肺」や「胃」の気を巡らせる働きが滞ることによって発生すると考えられています。

「七情(しちじょう)の乱れ」とは
七情は「怒り・喜び・憂い(心配)・思(考え事・悩み)・悲しみ・驚き・恐れ」などの感情のこと、通常はこれらの情緒変動は生理反応の範囲になり病気や症状を発生させることはほとんどないのですが、過度に起こったり長期間持続すると「陰陽のバランスの乱れ」や「五臓間の乱れ」を引き起こすため病気の発生原因となります。
更に、気血・臓腑の失調は情緒の乱れを引き起こすため悪循環となる。
(例:悩み事(思)によって眠れなくなると、心血が不足し不安感が起こりやすくなりさらに睡眠を安定させる働きが悪くなる)

【漢方豆知識】気滞(きたい)について

情緒変動が原因となるほかに、慢性咽頭炎や逆流性食道炎、慢性気管支炎、甲状腺疾患、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、鉄欠乏貧血など他の疾患が原因することもありますので主治医に相談することが大切です。

漢方治療

梅核気は「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」を用いることが多く、体質に合っていれば数回服用しただけで症状が軽減する方もいます。

 

【処方解説】半夏厚朴湯;のどのつまり、異物感、ゆううつ、つわり

ただし、漢方薬は本来は症状に対して選ぶのではなく、体質に合わせて選ぶことが大切なので、気滞を発生させやすい体質をあわせて整えることが根本治療であり再発予防となります。

特に女性の場合は血の不足が原因していることが多いので、「血」の働きを補う漢方薬の併用が効果的です。

 

【話題の漢方】イスクラ婦宝当帰膠B(第2類医薬品)

養生

梅核気の原因の多くが自律神経系の乱れ、中医学では「肝」の失調・乱れが原因していることが多いので、ストレスをためない生活習慣が大切になります。

ストレスは精神面のことだけではなく、睡眠不足・運動不足・疲労の蓄積・気温の変化もストレスとなります。日ごろから適度に身体を動かすことで血行が良くなり、気が滞りにくくなります。

また、朝起きにくい人や貧血傾向の方など「血」が不足していると「気」の働きも弱いため、多少のストレスでも気血の滞りが起こりやすくなります。毎日の栄養バランスを考え規則正しい生活習慣を送りましょう。

漢方薬を服用する場合は必ず、専門家に相談して選んでもらいましょう。