”漢方で温活” 冷えは自覚なくても冷えている

”漢方で温活” 冷えは自覚なくても冷えている

”温活”は、カラダを温めて、体調不良を改善すること。

「冷えは万病のもと」と古くから伝わってきましたが、自覚がないから「冷え」はないと思っている方もいます。

冷えている自覚がなくても、頭痛や肩こりなど体調の乱れは冷えが原因としている場合もあります。特に筋肉量の少ない女性は冷えが隠れていることが多いんですよ。

温活して得することがあっても、損することはありません。

未病

中医学には、未病という考え方があり、まだ病気ではないけれども冷え、頭痛、肩こり、むくみ などちょっと気になる症状、不調を感じている状態を未病と言います。

中医学では、自然との調和・体内調和をすることで、生命を活かし、健康に生活することができると考えているため、漢方治療(漢方薬、食養生、鍼灸)は病気予防であり未病対策なのです。

冷えがあるとカラダにあらわれやすい症状

・動悸
・不眠
・めまい
・肥満、やせにくい
・疲労感、無力感
・食欲不振
・食後眠くなる
・軟便や下痢
・胃腸が弱い
・頭痛
・肩こり
・耳鳴り
・むくみ
・月経痛
・月経不順
・経血が少ない
・貧血傾向
・腰痛
・関節痛
・低体温

これらの症状以外にも冷えによってあらわれる症状は多くあります。

冷えになる原因は

冷えの原因となる主な原因は生活習慣ですが、中医学では主に

①気血の不足
②脾胃の失調
③瘀血
④陽虚

に分けて考えます。

気血の不足

気はの働きは、「生命エネルギーや免疫力」
血はの働きは、「栄養と潤い、精神活動の安定、ホルモンバランスを調整」
血は、気の働きによって全身を巡り栄養と潤いを提供し代謝を促すことによって熱が発生し身体を温めています。

その為、気の不足は血の循環が悪くなり、血の不足は代謝の低下を引き起こし身体を温めることができず「冷え」となります。

特に筋肉量の少ない女性、食事制限ダイエット、慢性疲労の状態になるとこの気血の不足が起こりやすくなります。

気を補う食材
雑穀、山芋、人参、椎茸、ナツメ、カボチャ、くり、レンコン、陳皮、鶏肉

気を補う漢方処方
補中益気湯、六君子湯など

血を補う食材
ほうれん草、枸杞の実、黒豆、ナツメ、当帰、カツオ、サバ、鶏肉

血を補う漢方処方
婦宝当帰膠、当帰補血湯、四物湯など

血は気のエネルギーから生まれ、気の循環作用によって全身を巡ることができます。

気は血の栄養と潤いによって五臓が働くことで生成されるため、一方が不足するともう片方も不足するので気血は同時に補うことが大切です。

気血を補う代表漢方処方
十全大補湯、人参養栄湯、帰脾湯

おすすめ料理:参鶏湯(サムゲタン)



脾胃の失調

脾胃は飲食物を消化吸収し気血水の源をつくる大切な臓腑です。この大切な脾胃の働きが低下すると気血の生成量が不足し冷えの原因となります。

脾胃の働きを悪くさせないためには
・消化の良い食事
・よく噛んで食べる
・温かい飲食
・食べ過ぎない
・お酒は適度に
・ストレス対策
を心がけてください。

消化を助けるおすすめ漢方素材

・山査子・・・肉類・脂っこいものの消化を助けます。
・麦芽 ・・・うどん、パンなど小麦粉でできたものの消化を助けます。
・神麹 ・・・ごはんなど米でできたものの消化を助けます。
これら3種の生薬が配合されている漢方処方(加味平胃散、化食養脾湯)がありますが、手軽にサポートできる健康食品もありますのでお気軽にご相談ください。

脾胃を整える代表漢方処方
六君子湯、加味平胃散、化食養脾湯など

瘀血

瘀血(オケツ)は血の滞りが起こっている状態を指しています。
一般的表現では血行不良で運動不足や食事の不摂生、ストレス、睡眠不足、慢性疾患、薬剤、紫外線など様々な原因が考えます。

オケツは、小さな血行不良であれば自覚症状がなく済みますが、これが積もっていくとただ単に「冷え」ではなく動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、癌など生命の危険にさらされる病気に進行していくことも考えられます。

実際に、中医学では脳梗塞、心筋梗塞、認知症、月経困難症、不正性器出血、骨盤内血腫、月経不順、無月経、骨盤内炎症などはオケツが関係していると考えています。

女性は筋肉量が少なく血行不良を引き起こしやすいためオケツが発生しやすい体質です。日ごろから適度な運動、ストレス、安定した睡眠の対策を大切にしてください。

血の流れを良くする食材
ニラ、ミカン、フェンネル、ハッカ、ベニバナ、当帰、黒豆、黒酢、アジ、イワシ、カボス、玉ねぎなど

オケツを改善する代表漢方処方
冠元顆粒(冠心Ⅱ号方)、血府逐瘀湯、桃紅四物湯、桂枝茯苓丸など

陽虚

気が不足した状態が長くなると五臓の働きの低下とともに身体を温める働きがある「陽気」の不足によって気虚症状に「寒」の症状が加わります。この状態を「陽虚(ようきょ)」といいます。

特に五臓の「腎」は陽気の源であるため、腎の働きの低下は「陽虚」を発生させやすい。

腎は加齢とともに衰えていく臓腑なので高齢者や更年期以降は陽気が不足し「冷え」が発生します。

陽虚の状態では次のような状態や症状があらわれやすくなります
・寒がりで温かい物を好む
・手足が冷たい
・頻尿
・夜間尿
・尿の切れが悪い、尿漏れ
・排尿困難
・むくみ
・耳鳴り
・低体温傾向である
・足腰がだるい
・性欲の低下
・目のかすみ

陽虚にお勧めの食材
にら、シナモン、にんにく、エビ、クルミ
温熱性の食材
モチ米、カボチャ、栗、よもぎ、アンズ、紫蘇、ネギなど

陽気を補う漢方処方
八味地黄丸、牛車腎気丸、右帰飲、亀鹿二仙膠など

陽気の不足によって内部に侵入した「寒邪」を散ずる漢方処方
理中丸、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、温経湯、呉茱萸湯など


これらは冷えが発生する代表的な原因と対策でありますが、症状や疾患はある特定のことだけが原因して発生していることは少ないため身体全体を診て整えることが大切です。

また、冷えを外部から温めることだけに頼っていては根本的な改善にはつながりません。身体の内側から「温活」をお勧めします。