自律神経と免疫の関係
- 2023.03.17
- 漢方トピック
免疫
私たちの身体を細菌、ウイルス、真菌、寄生虫、化学物質、花粉などから守り、侵入した異物を排除する働きを「免疫」と言います。
この異物は、自己と非自己というものに分けて考えます。
自己というのは自分ということですが、生まれて6か月から1歳までの間に人間は自分の身体を自己(自分)と確立します。
それ以外のものを非自己と言い、免疫の世界ではそれを「抗原(こうげん)」と呼んでいます。
免疫の種類
免疫には大きく2種類あります。
まず、侵入してきた抗原に働き、すべての抗原に立ち向かう自然免疫(先天性免疫)と、自然免疫だけでは排除しきれなくなると働く獲得免疫です。自然免疫はすべての抗原に対して働くのに対して、獲得免疫は特定の抗原に対してその免疫力を発揮します。
免疫で活躍する白血球の割合
自然免疫は「顆粒球(かりゅうきゅう)」、獲得免疫は「リンパ球」が働きます。
顆粒球もリンパ球も身体を守る防衛隊ですが、それぞれがバランスよく働いていると安定した免疫を発揮できるのです。
顆粒球は白血球全体のうち54~60%、リンパ球は35~41%、マクロファージ5%という比率が健康の理想的なバランスです。
それぞれの働き
顆粒球(好中球・好酸球・好塩基球・肥満細胞)
ウイルスや細菌・寄生虫を排除する働きの他に、慢性炎症、喘息、アレルギー、免疫制御、自己免疫、およびがんなどいくつかの疾患に関与しています。
リンパ球(B細胞、T細胞、NK細胞、形質細胞)
ウイルスなどの病原体やがん細胞などの異物を攻撃、異物の情報を記憶し、次の感染に備えます。
マクロファージ
血管内では単球、組織内ではマクロファージと呼ばれるもので、体内に侵入した細菌などの異物をロボット掃除機のように捕食し、抗原や免疫情報を見つけ出します。
免疫と自律神経との関係
顆粒球とリンパ球は自律神経の支配のもと、その働きに優位差が生まれます。
交感神経が優位の時
交感神経が優位になっているときには「顆粒球」が増加します。
交感神経が働くときには体内でアドレナリンという物質が放出されます。顆粒球にはこのアドレナリンを受け取る専用の窓口があるため、交感神経が優位であると活性化され増加します。
副交感神経が優位の時
副交感神経が優位になっているときには「リンパ球」が増加します。
副交感神経が働くときには体内でアセチルコリンという物質が放出されます。リンパ球はこのアセチルコリンを受け取る専用の窓口があるため、副交感神経が優位であると活性化され増加します。
自律神経が乱れると・・・
交感神経が優位になりすぎると顆粒球が増えます。顆粒球が増えすぎると炎症が起こりやすくなり、活性酸素が増えて健康細胞までも悪影響を与え、身体に必要な常在菌まで排除されてしまい、かえって免疫が弱くなってしまいます。
さらに、顆粒球はリンパ球の働きを抑える性質があるので、リンパ球の減少によってウイルスに対する抵抗力も低下してしまいます。
逆に、
副交感神経が優位になりすぎるとリンパ球が増えます。リンパ球は抗原に対して抗体をつくり免疫を発揮しますが、抗体がつくられすぎると免疫が働きすぎてアレルギーや喘息などを引き起こすのです。
免疫力が強ければよいというのではなく、そのバランスが大切なのです。そして、そのバランスを調整しているのが自律神経です。
自律神経のバランスを整えることが大切なことが分かります。
自律神経を整える
自律神経を整えるためには、自律神経を乱している原因を認知することが大切です。
春と秋は季節の変わり目、特に春は、転職や移動、引っ越しなど生活習慣・環境が大きく変化する時です。
病気の発生原因はストレスの蓄積➡自律神経の乱れ➡ホルモン・免疫の乱れです。
睡眠不足・運動不足・ストレス・慢性疾患・薬剤・生活環境の変化・食事内容や時間の乱れ、など様々なことがストレスとなり自律神経を乱してしまいます。まずは生活習慣を見直して、自分の身体を大切にしてください。
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