貝が生み出す天然の宝石「真珠(珍珠)」は漢方素材

貝が生み出す天然の宝石「真珠(珍珠)」は漢方素材

漢方薬に使用される材料を「生薬(しょうやく)」といいます。
つかわれている生薬の多くは、植物の根、茎、花、葉、種などですが、動物や鉱物の一部も生薬として使用します。

アコヤ貝が生み出す宝石と言えば「真珠」
三重県のミキモト真珠島は世界で初めて養殖の真珠が誕生した場所です。
「お伊勢さん」「大神宮さん」でも有名な神宮(伊勢神宮)も近く、観光地として一度は訪れたい場所です。

珍珠

真珠は宝石として有名ですが、生薬としても使用されています。
ただし、形状が不定形で色や大きさも宝石(真珠)としては価値のないものを使用し、これを「珍珠(ちんじゅ)」といいます。

効能

珍珠は重鎮安神薬(じゅうちんあんしんやく)に分類されます。
その作用は、気が動転していたり、興奮していて眠れない、動悸、驚きやすい、痙攣などを安定させる働きがあり、不眠症や動悸、イライラに対して使用されます。漢方の表現では五臓の心・肝の興奮を鎮める生薬として考えます。

(同分類生薬)
竜骨、牡蛎、琥珀、磁石など

その他に、解毒生肌という作用があり、中国の古典には「飲めば若さを保つことができる」と書かれ、真珠の微粉末を服用していた記録があります。現代でも、美容関連のサプリメントには真珠(珍珠)を使用したものが多く出回っています。

漢方処方

薬局で医薬品として調合できる薬局製剤の中には、この珍珠を使用した漢方処方はありません。
中医処方としては珍珠ではなく珍珠母(ちんじゅも)という(アコヤ)貝殻の内側に付着している真珠を作る働きのある部分を使用し、珍珠同様に重鎮安神薬として使用された処方があります。

現在、医薬品として使用されている重鎮安神薬は竜骨、牡蛎で、安中散、柴胡加竜骨牡蠣湯、桂枝加竜骨牡蠣湯、柴胡桂枝乾姜湯に使用されています。

健康食品

先に述べたことですが、珍珠や珍珠母は健康食品として多く使用されています。
その目的としては、美容関連のものもあれば睡眠や精神のバランスを考えて作られているものまで幅広く流通しています。