いきいき元気 第8回「この症状をも見逃すな!誰にでもできる瘀血の簡単チェック方法」

いきいき元気 第8回「この症状をも見逃すな!誰にでもできる瘀血の簡単チェック方法」

万病のもとである「瘀血」。

瘀血になると特有の症状があらわれます。特徴的な症状が確認できれば早めの対策をすることで、病気の進行対策、予防につながります。瘀血の三大症状をチェックしてみましょう。
誰にでもできる「瘀血」のチェック方法をご紹介します。

瘀血にはタイプがある

瘀血のできる原因は人それぞれに違いがありますが、瘀血のタイプを3タイプに分けることができます。

心臓に問題

心臓は血液を全身に送り出すポンプの役割があります。
中医学では、心臓を動かす力を「心気」といい、この心気が弱くなると血液を押し出す力が弱くなることで血の滞りが発生しやすくなります。

西洋医学では、心臓の働きが低下して血液の循環が悪くなっている状態を「心不全」といい、
心不全は次のように定義されています。

『心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気』

心不全は、弁膜症、心筋症、先天的な心臓の病気などの心臓自体に問題がある場合と、心臓以外の高血圧、糖尿病、アルコール、COPD、癌治療などが原因して起こるタイプに分けられます。

血管に問題

身体にある血管の全長は地球2周半(約10万キロメートル)。
血管には、動脈、静脈、毛細血管、細小動脈があります。心臓から出た血液は太い動脈を通り、酸素や栄養を運びます。次に全身に網の目のように張り巡らされている細い毛細血管を使って細胞や組織の隅々まで酸素や栄養を運び、老廃物を受け取り静脈を通じて廃棄処理する器官に届けて血液は心臓に戻ってきます。

血液循環の図は、「看護roo!」さんのサイトが分かりやすいです。(https://www.kango-roo.com/learning/2225/

血管に問題があるのは、
・動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態となり、血管が傷つきそのことから血栓が生じたりして血管が詰まりやすくなる「動脈硬化」
・運動不足や冷房や冷気で身体を冷やしてしまい循環が悪くなる「血行不良」
「加齢」人は血管から老いる

血液に問題

血液粘度が高くなり、ドロドロとしている状態。
血管に問題を生じる動脈硬化の主な原因である「コレステロール」やストレス、偏食、喫煙、運動不足などが血液粘度を高める原因と考えられています。

瘀血の三大症状を見逃すな!!

不通則痛(ふつうそくつう)

「不通則痛(ふつうそくつう)」は、「通らざれば則ち痛む」という意味で、血流循環が悪くなっている末端には、酸素や栄養が運ばれず、老廃物の回収もできないことから痛みが発生します。
具体的な例としては、頭痛、腰痛、関節痛、固定性の痛み、月経痛など全身にあらわれます。
慢性的な痛みを起こしている原因には、瘀血が関係していると考えられます。

暗紫色

中医学の診察には舌診(ぜっしん)という舌の状態を見て、体内の状態を診断する方法がありますが、舌が暗赤色や紫色のシミ、舌の裏の静脈が紫色に腫れている状態は「瘀血」と診断します。

また、目の周りが黒っぽくなる、顔色がどす黒い、肝斑、シミ、しわ、あざなども「瘀血」の症状の一つです。

しこり

肩こりやこぶ、腫瘍は「血が肉となる」というように、血の滞りは塊・しこりとなります。肩にコリコリしたもの、月経時の経血に「血の塊」が混じるのは「瘀血」です。

こんな疾患も瘀血が関係している

瘀血は、糖尿病、高血圧、脂質異常症、癌などの疾患から、うつ病、不眠症、不安神経症などの精神疾患、アトピー性皮膚炎、脂漏性湿疹、乾癬などの皮膚病、便秘、下痢、痔、などの大腸疾患、自律神経失調症、更年期障害など様々な疾患に瘀血が関係しています。
治療をしても繰り返してしまう、年齢とともに病状が悪くなる、症状が徐々に悪化しているような場合には瘀血の改善が必要かもしれません。

瘀血の予防と改善

瘀血の予防と改善にはまずは生活習慣を見直すことが大切です。
心の持ち方
ストレスの対処法・解消法
食事の摂り方
バランスのとれた食事、ゆっくりよく噛んで、腹八分
適度な運動
健康診断の事前問診に「1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2回以上、1年以上実施していますか」とあるように、1回30分以上の持続した運動(ウォーキング、ジョギング、スポーツなど)を行える機会を作ってみましょう。
休養
ストレス解消と同様に、身体を休めることも大切です。一番大切なのは良質の睡眠(眠りが深い、目覚めがすっきり)。
寝付きが悪い、途中で何度も目が覚める、朝スッキリ起きれないと心身のリフレッシュがうまくできていないと考えられます。
睡眠の質を改善する治療や生活習慣の改善を行いましょう。

漢方薬で対策

加齢による血管の老化でも、血管はいくつになっても若返ることができます。つまり、瘀血は改善できるのです。

漢方薬には「活血化瘀剤(かっけつかおざい)」という「瘀血」を改善する漢方処方が存在します。
冠心Ⅱ号方
・芎帰調血飲
・血府逐瘀丸
・桃核承気湯
・桂枝茯苓丸
・通導散
など

これらの活血化瘀剤は「瘀血」を改善する働きが特に優れていますが、漢方治療では瘀血になっている原因もこれらの活血化瘀剤と一緒に服用して改善することが大切です。

毎日少しづつ、健康に良い取り組みを行い、良いことを積み重ねた結果、病気の改善、健康長寿に結びついていきます。お気軽にご相談ください。