医療用漢方薬を医療保険制度を利用して服用する方法

医療用漢方薬を医療保険制度を利用して服用する方法

「そちらで漢方薬を購入する時には(健康)保険はききますか。」というお問い合わせを度々受けています。(「処方箋なし」でという条件において)その都度、保険適応できないことを伝え、健康保険の仕組についてご説明を差し上げるのですが、医療保険制度についてご理解、誤解されていない方がいるんだな感じました。
知らないことや誤解が悪いわけではありません。誤った理解が続くことが良くないので正しい知識を持っていただきたいと考えます。

他のサイトでも検索すると「健康保険の仕組」について詳しく紹介していますが、広く認知していただくためにも医療保険制度の仕組と漢方薬を健康保険の適応を受けて処方していただく方法についてご紹介いたします。
仕組みを理解できた方は、ご存じない方に説明してあげてくださいね。

医療用漢方薬を医療保険制度を利用して服用するには

1.保険証を持って保険医療機関(病院・診療所)へ行きます。
2.保険医の診察、診断していただきます。
3.診断された疾患に対して適応のある漢方薬の処方箋を発行していただきます。
4.保険薬局へ処方箋・保険証を提出
5.保険薬剤師による調剤
6.会計(医療保険制度適応)

以上が医療用漢方薬を保険で服用する方法になります。
薬局(特に当店のような漢方専門薬局)で保険証を提出すれば、保険が適応できるかもと勘違いしている方がいます。なぜそのような勘違いが起こったのかと考えるとCM等で「漢方薬も保険が適応できます。」と流れているからではないかと思っています。
(思っていますというのはあくまでも個人の感想です)

保険が適応できるかどうかを尋ねるということは、もしかしたら保険適応できるかもと考えているからだと思います。
「医療機関への受診がまず必要ですよ」と伝えると「やっぱりそうだよね」と返答があるので、情報は「正確に理解」していただくように努めることが大切だと考えさせられます。

医療保険制度

日本国民であれば必ず何らかの保険制度に加入することになっています。このことを国民皆保険制と呼びます。
主な健康保険は次のようなものがあります。

国民健康保険 農・漁業・自営業・自由業
協会けんぽ 中小企業のサラリーマン
健康保険組合 大企業のサラリーマン
共済組合 公務員
船員保険 船員

保険証を持っていれば保険制度に加入している証拠です。
国民皆保険制、病気やけがをした時に、治療のために必要な医療費の負担を軽減するのが目的です。

我が国の医療保険制度(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken01/index.html

保険診療の流れ

上図をご覧ください。これから例を挙げて説明いたします。
ある中小企業のサラリーマンが病気になり、「保健医療機関」を受診し、②診察、投薬を受けました。
この時にかかった医療費全体(診察料、薬剤料など)が1万円だったとします。「患者」負担が3割とした場合、②一部負担金(患者の支払い)は3000円です。

次に「保険医療機関」は、診療した結果これだけかかりましたので、医療費の残りの支払いをお願いしますと「審査支払機関」へ③7000円を請求します。

請求された「審査支払機関」は、請求の審査を経て、患者の加入している保険組合「医療保険者」へ④7000円を請求します。
「医療保険者」は請求に従い⑤7000円を「審査支払機関」へ支払います。

「審査支払機関」は、「保健医療機関」へ請求されていた7000円支払いします。これで「保険医療機関」「患者」からの3000円と7000円合わせて医療費全体の1万円の報酬を受けることができます。

患者の負担は3割、残りの7割は「医療保険者」の負担となります。
この「医療保険者」のこのお金を医療保険に加入している皆様(患者も含め)から徴収しているのです。

給与明細で健康保険、厚生年金、住民税などが書かれ給与から引かれています。
この差し引かれている健康保険の金額と同額を会社は負担し「保険医療者」へ納めています。
例えば、健康保険料が1万円と書かれていたら、会社も1万円負担し合計2万円「保険医療者」へ納めているのです。

このように、皆さんが働いて治めている保険料を病気やけがをした人の負担を減らすために使用しているのです。だから保険に加入している方は、どんな方でも同じ条件で安心して高度医療を受けることができるのです。

3割負担は安いと感じるのは、その時に支払っている金額が少ないからです。しかし、働いて稼いだ金額から保険料を差し引かれているということは、毎月、医療を受けていても受けていなくても、医療費を支払っているということと同じです。さらに、会社は同額を会社の利益から収めているのです。

関東信越厚生局HP
保険医療機関・保険薬局の指定等一覧及び保険医・保険薬剤師の新規登録一覧https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/chousa/shitei.html

保険料は都道府県で違う

協会けんぽ(中小企業のサラリーマン)の保険料は、全国健康保険協会「協会けんぽ」令和5年保険料額表で調べることができます。

例えば、40歳から64歳までのサラリーマンが50万円の給与を東京でもらっている場合、納めている保険料は11.82%の29.550円
大分県の場合、同じ条件で納める保険料は12.01%の30.050円となり、東京よりも500円多く負担が必要です。

50万円の給与(2号被保険者) 保険料率 保険料額
東京 11.82% 29.550
大分 12.01% 30.050
北海道 12.11% 30.275

皆が健康で病気をせず、たまに小さなけがをする程度であれば、保険料は少なく済みますが、病気の人が増えて医療費が増え続けている現代、負担はこれからも増えるということでしょう。国民が一人ひとり考えなければいけませんね。

※医療保険制度についての説明で、文章に間違いや表現の至らない点、私の思い違いがございましたら、ご指導、ご指摘をお願いいたします。

連絡先:042-638-8860(みなみ野漢方薬局)
メール:mail@minamino-kanpou.com
責任者:松田哲男