【漢方生薬】丁子(ちょうじ)
シナモン、ミント、フェンネル、カルダモンなどのスパイスやハーブは、漢方薬の原料としても使用されています。
そのスパイスとして使用するグローブも生薬名「丁子(ちょうじ)」として漢方処方に使用されています。
今回は、丁子についてご紹介いたします。
丁子/グローブ
インドネシアのマルク諸島(モルッカ諸島)原産、フトモモ科、クローブの枝についた熟しかけのつぼみを採取して乾燥させたものを料理や漢方薬原料として使用します。形状が釘に似ていることから「丁子」と命名されたと聞いたことがあります。
マルク諸島
広大な海原に1000以上の島々が散らばるマルク諸島では、グローブとナツメグが採れることから、スパイスアイランドと呼ばれ、インドや中国、アラブ、ヨーロッパとの貿易が行われてきました。(インドネシア共和国観光省HP)
丁子/グローブを料理での使用方法は料理のプロが教えるクローブの使い方と効果を解説を参考にされてください。
漢方薬に配合
漢方薬では、柿蒂湯(していとう)、女神散(にょしんさん)に丁子が配合されています。
丁子の薬効分類は散寒薬となり、腎や脾を温める働きがあります。
柿蒂湯(していとう)
「しゃっくり」に対する漢方処方で、柿蔕(柿のへた)・生姜・丁子の3種類の生薬で構成され、丁子はお腹を温めることで嘔吐やしゃっくりを止める働きがあります。この処方の主剤は柿蔕なので、柿蔕の働きを補佐する形で配合されていると考えられます。
女神散(にょしんさん)
この処方は、主に血の道症、更年期障害による諸症の改善に対する処方で、特に「のぼせ、頭重、めまい」がある状態に使用します。血の道症に対して使用例の多い「加味逍遥散」などを使用して「ほてり・のぼせ」が取れない場合には、本方を用いることがある。
この処方での丁子は、当帰などと一緒に下半身を温め冷えを改善する働きや消化器を温めることでの整腸作用、吐き気対策としての薬効があります。
歯痛(虫歯、浮歯、歯の根の痛み)を鎮める
虫歯の痛みを経験している方はご存じかもしれませんが、昔から歯の痛み対策の定番と言えば「今治水(こんじすい)」(丹平製薬)。
キャップの上に綿が入っていて、それに今治水をつけて歯の空いた穴(虫歯)にそれを埋めることで痛みを和らげてくれるもので、この「今治水」にチョウジ油が配合されているのです。
説明の薬効は「痛みを鎮めます」と記載されています。
その為、虫歯の痛みに良いのですが、虫歯を治す薬ではないので、歯が痛い時には早めに歯科の受診をいたしましょう。
ゲルタイプのものも販売しているようです。
ですが、残念ながらゲルタイプには丁子/グローブの配合がされていません。
繰り返しますが、歯科をすぐに受診してください。
ガラムマサラ
スパイスに詳しい人は良く知っている調味料「ガラムマサラ」。
丁子/グローブはこのガラムマサラに配合されているようです。
ガラムマサラは、インドを代表するミックススパイスで、通常3~10種類のスパイスを配合して作ります。スパイスの配合に決まりはありませんが、主にブラックペッパー、カルダモン、コリアンダー、クミン、シナモン、クローブ、ナツメッグなどが用いられ、チリーペッパーを加えてさらに辛みを高める場合もあります。(S&B)
丁子/グローブは、生薬のままでも煎じても独特の甘い香りがします。味は辛いとなっていますが私はあまり感じませんでしたが、煎じた液体を口に入れていると舌がビリビリしびれてくるような感じを受けました。
余談ですが、20数年前、煎じ薬の調合中にこの生薬のにおいをかいだ時、前に一度嗅いだことがあると感じていました。
そして、ある休日の日、パチンコ屋さんでその香りがしてきたのです。その香りのする方を見るとタバコの煙がモクモクと・・・
タバコにも使用していたのですね。
調べたらありました。(たばこ専門店さくらんぼ)
グローブの香りを楽しみたい方はタバコでなく、生薬をお求めください。タバコは健康を害しますので吸わないことを強くお勧めいたします。
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