不眠、不安感に『天王補心丹(てんのうほしんたん)』

不眠症、不安症に対する漢方薬『天王補心丹(てんのうほしんたん)』をご紹介します。
イスクラ天王補心丹T
イスクラ天王補心丹Tの剤型は「丸薬」、丸薬は漢方薬独特のにおいや味が苦手な方でも服用できるタイプです。
効能・効果
体質虚弱な人の次の諸症:不眠、不安感、肩こり、息切れ、動悸、口渇、便秘
用法・用量
次の量を、1日3回、食間に服用してください。
成人(15歳以上) 1回8丸
※15歳未満は服用しないでください。
成分・分量
本品1日量24丸(4.8g)中、下記成分及び分量を含有します。
ジオウ ・・・1.20g
サンソウニン・・・0.30g
テンモンドウ・・・0.30g
トウキ ・・・0.30g
バクモンドウ・・・0.30g
オンジ ・・・0.15g
キキョウ ・・・0.15g
ブクリョウ ・・・0.15g
ハクシニン ・・・0.30g
タンジン ・・・0.15g
トウジン ・・・0.15g
添加物としてトウモロコシデンプン、精製セラック、マクロゴール6000、薬用炭を含有します。
使用上の注意・相談すること
1.次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。
(1)医師の治療を受けている人
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人
(3)胃腸が弱く下痢しやすい人
(4)今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人
2.服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、
この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売員にご相談してください。
(関係部位)消化器 (症状)食欲不振、胃部不快感
3.服用後、次の症状があらわれることがあるので、このような症状の持続又は増強が見ら
れた場合には、服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売員にご相談してください。
下痢
4.1か月位服用しても症状が良くならない場合は服用を中止し、この文書を持って医師、
薬剤師又は登録販売員にご相談してください。
製造販売元
イスクラ産業株式会社
販売容量・価格
容量:720丸(30日分)
価格:7.200円(希望小売価格、税抜)
処方解説
天王補心丹の漢方処方は「安神剤(あんしんざい)」に分類されます。
安神剤とは、精神安定・鎮静を目的とした処方で、寝付きが悪い、睡眠途中で目が覚めてしまう、予定よりも早く目覚めてしまう、夢が多い、日中眠くなる、不安感、心配性、焦燥感、イライラ、動悸などの症状に対して使用する漢方薬の種類をいいます。
漢方治療、中医学では、同じ病気であっても人それぞれ体質や症状(「証」)が異なるため、一様の治療法ではなく、個別に適切な治療方法を選ぶ必要があるります。このことを、同病異治(どうびょういち)といいます。
天王補心丹に適した方の『証』は、「心腎陰虚」です。
※『証』とは中医学独自の概念で、心身のお悩みを持たれている方の体質、病の性質、心と体の状態などを正確に表すための物差しです。
心腎陰虚(しんじんいんきょ)とは
心腎陰虚は、五臓の心と腎の陰が不足した状態を指します。
下記に五臓「心」「腎」の主な働き、陰虚について簡単に解説します。
五臓の働き
■五臓「心」の主な働き
精神神経、血流循環の安定と調整
■五臓「腎」の主な働き
生殖・泌尿器の働き、成長と老化と関係、水分代謝の調整
陰虚とは
五臓のエネルギー源となる「血・水・精」をまとめて「陰」。(気は「陽」)
この「陰」が五臓「心」「腎」の両方で不足している状態を「心腎陰虚」といいます
心陰が不足すると、心の精神安定の働きが低下することで、寝付きが悪い・眠りが浅い・多夢・不安・驚きやすい・イライラといった症候があらわれます。また、心陰が不足すると心陽が亢進・興奮(交感神経系の興奮)となるために、夜になってもうまく休まれずに睡眠障害を引き起こし、動悸も伴いやすくなります。
腎陰が不足すると、心の興奮を鎮めることができなくなります。
これは、腎は心に対して「相克」という関係性があるためで、五行理論から、心は「火」、腎は「水」であるため、「火」の勢いを消す「水」が不足すれば「火」を鎮めることができなくなるというものです。
原因
心腎陰虚となる原因は、
心陰の不足の多くは、慢性疾患、心疾患、精神疲労、肉体疲労などによって発生し
腎陰の不足の多くは、慢性疾患、腎臓疾患、加齢、性生活の乱れなどで発生します。
特に「腎」は成長と老化を司っているため、加齢による「腎」の機能の低下は、睡眠の質に関係します。
まとめ
天王補心丹は、慢性病や加齢、心腎の疾患、精神疲労などにより、心腎の陰が不足した状態(心腎陰虚)による不眠、不安感、肩こり、息切れ、動悸、口渇、便秘などの症状を改善するための処方です。
※漢方薬を服用の際には、漢方・中医学に精通した専門家の問診、相談、カウンセリングを受け、ご自分の状態に適した漢方薬を選んでいただきましょう。
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