舌の『苔』でわかる、あなたの健康状態

舌の『苔』でわかる、あなたの健康状態

中医学では、身体の状態を診察する方法を「四診(ししん)」といいます。

四診の種類
①望診(ぼうしん):目で見る
②聞診(ぶんしん):耳と鼻で聞く
③問診(もんしん):状態を聞き取る
④切診(せっしん):お腹や脈を調べる

舌の状態を観察するのは「望診」のうちの一つで『舌診(ぜっしん)』といいます。
”舌は体内を写す鏡”とも言われ
舌の色や形態と舌苔(ぜったい)の状態を観察し体質や体調、病気の原因や性質などを診断する際の参考材料とします。
今回は、舌苔の違いによる病証についてご紹介します。

舌苔とは

舌苔は、舌の表面上に付着している苔状の物質のことで、舌診では苔の質と色を観察します。
舌苔は、舌の表面のザラザラした部分の糸状乳頭が増殖したり、細菌、老廃物、食渣(食べ物のカス)のかたまり、腐敗した粘液や脱落した上皮細胞が積み重なったりすると苔が厚くなってきます。
中医学では、苔は元来は胃気の上蒸によって発生するため、胃気が安定している場合には正常な舌苔となる。

正常な舌苔

正常な場合、白い苔が全体に薄く均等についています。
(剥がそうとしても取れないか、ごく少量の付着)
取れないのは、苔ではなく糸状乳頭の表層が角質化しているため白く見えているだけです。
こすらないようにいたしましょう

舌苔の色の違い

舌苔の色の違いにより、体質あるいは病邪の性質が「表証・寒証」か「熱証」を判断します。
※りんご飴やコーヒーなどを飲食した場合は、苔にその色が付着するため判断ができなくなるので、相談にご来店の際には、色素が付着しそうな飲食を避けてご来店ください。また、苔を掃除しないでご来店ください。

白苔(はくたい)

正常の苔の状態よりも苔が厚く、白い粉を蒔いたような状態で舌表面は湿潤している場合には「寒証」によくみられる苔の状態です。
身体が冷えている場合や寒邪の影響が考えられます。
風邪のひきはじめ(発熱前のゾクゾク)、胃腸虚弱、冷え症、むくみ、冷飲で発生しやすい。

黄苔(おうたい)

白苔が黄色状態、舌の奥側の白苔の一部だけが黄色くなっているものから、全体的に黄色である場合とあり「裏証・熱証」によくみられます。
発熱後の風邪時、暴飲暴食後、便秘、のぼせなどの症状がある人に見られます。
熱証の度合いが強いと色が濃くなってきます。

苔質(たいしつ)

苔は色の他に、苔の性質(苔の厚さ、湿潤度合い、粘稠性、分布、剥落)などをチェックします。

厚薄(こうはく)

苔によって舌の表面が見えない状態を「厚苔」、ぼんやりと苔の下の舌表面が見える状態を「薄苔」といいます。
「薄苔」の場合
正気が充実又は邪気の勢いが弱い・・まだ慢性化していない初期の状態(白苔であることが多い)
「厚苔」の場合
邪気の勢いが強い・・・・・・・・・病邪が体内に侵入している状態か体内で邪気が発生している状態(黄苔であることが多い)

潤燥(じゅんそう)

苔が湿っているか乾燥しているかをチェックします。潤燥から主に「津液」の状態を把握できます。
正常舌では適度な潤いがあります。
「湿潤」の場合
光を当てるとよく光り、表面がツルツルした状態。
体内で「湿」「痰」が発生している場合や「寒邪」が伴い「寒湿」「寒痰」となっていることが多い。
「燥苔」の場合
乾燥している状態で触れるとザラザラした感じとなっている場合
津液(水)が循環していないか不足又は循環力の低下が考えられる。
苔の色や舌全体の色から病邪を探ります。

腐膩(ふじ)

「膩舌(じたい)」
苔が下にべったり張り付いている状態で拭うことが困難
「湿」が増えることによって発生。

「腐苔(ふたい)」
・苔が粉チーズを振りかけてそれが溶けたような状態であったりおからを振りまいたような状態に見える
膩舌と違い拭い去ることができる性質
カビの一種のカンジダ菌や「湿熱」による影響が考えられる

剥落(はくらく)

舌苔の一部あるいは全体が剥がれている状態。
剥がれた部分の舌表面はツルツルしていることが多い
正気が消耗し、陰も消耗している「気陰両虚」と呼ばれる状態や
胃の働きの停滞や気虚が原因する
アレルギー体質や慢性疲労、胃腸が疲れているときなどにあらわれやすい。

苔は取るべきか

お客様に舌を見せていただくときに、「掃除しています。」という方がいます。
舌苔が厚くなると菌が増えるため、口臭や誤嚥性肺炎になる可能性があるため、
・苔が厚い
・強くこすらなくても取り除くことができる
場合には適度に清掃する必要があります。

しかし、舌は傷つきやすいため歯ブラシでゴシゴシ磨いたり
強くこすらないようにいたしましょう。

中医学では主に、脾胃の働きの低下や病邪が原因していることが苔の性質の変化をもたらしていると考えるため
・暴飲暴食
・間食
・冷飲
・胃腸の疲れ
を減らし、苔の状態がどのように変化するのかを観察してみましょう。