歯周病(歯肉炎・歯周炎)を抑える漢方うがい薬
- 2023.12.23
- 話題の漢方
歯ぐきの腫れ、歯磨き時の出血、痛み、口臭などの症状を引き起こす「歯周病」。
ひどくなると歯は丈夫なのに、支える土台が弱くなり抜け落ちてしまうことも・・・・
漢方処方では「立効散(りっこうさん)」が有名ですが、ニクズク・益母草・檳榔子・甘草を使用した「漢方うがい薬」も良く効きます。
その、漢方うがい薬についてご紹介します。
歯周病
定義:
歯と歯ぐき(歯肉)の隙間(歯周ポケット)から侵入した細菌が、歯肉に炎症を引き起こした状態(歯肉炎)、それに加えて歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしてグラグラにさせてしまう状態(歯周炎)を合わせて、歯周病といいます。
細菌の作り出す酸によって歯が溶かされて、歯に穴があく病気がむし歯で、歯周病はむし歯とは大きく異なる病気です。
e-ヘルスネット(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-001.html)
歯周病は、歯と歯肉の間に歯周ポケットと呼ばれる溝に悪い菌が入り込み、歯を支えている骨(歯槽骨)を溶かしてしていきます。
その原因は、甘いものの取りすぎや、歯磨きが不十分であると菌が「歯垢(プラーク)」というネバネバしたものを作り、歯の表面に付着して、その歯垢を取り除かないと表面に固着した「歯石」となり、歯周病を進行させてしまいます。
歯垢(プラーク)は、数多くの細菌が住み着いており、虫歯や歯周病を引き起こしていきます。
毎日の歯磨き、歯科での歯垢、歯石ケア(定期健診)が大切です。
渡辺秀司先生
漢方うがい薬を開発したのは、歯科医師:渡辺秀司先生(現「とつかグリーン歯科医院」理事長)。
先生はご自身の歯科医院で漢方うがい薬を患者さんに試し、約3~6か月後に
「歯の腫れがひく」
「出血が止まる」
「歯周ポケットが小さくなる」
「歯のぐらつきがおさまる」
「口臭がなくなる」
等の効果を実感し、歯肉が引き締まることで歯を抜かずにすむケースもあったようです。
漢方うがい薬
漢方うがい薬は、4種類の生薬を使います。
甘草(カンゾウ)
マメ科のカンゾウの根。多くの漢方処方に配合され調和薬や補気薬、解毒薬、鎮咳薬として使用されます。
檳榔子(ビンロウジ)
ヤシ科のビンロウジュの成熟種子。気の巡りの改善・利水剤として利用されます。女神散に配合。
益母草(ヤクモソウ)
シソ科のメハジキの全草。理血薬に分類され、血の巡りを改善。芎帰調血飲(第一加減)に配合。
肉豆蔲(ニクズク)
ニクズク科のニクズクの種子。収渋薬に分類され、下痢止め、気の巡りの改善の作用がある。
歯周病には、
・歯肉炎:歯肉に炎症
・歯周炎;歯槽骨までの進んだ炎症
を合わせて歯周病と定義されます。
うがい薬も、状態によって使い分けを行います。
●歯肉炎(しにくえん)
甘草・檳榔子・肉豆蔲の3種類を各15gづつ。
●歯周炎(ししゅうえん)
肉豆蔲・益母草を各15gづつ。
作り方・使用方法
うがいするのは就寝前
①600ccの水に入れて、沸騰するまでは強火で、沸騰したら弱火で半分位になるまで(30~40分)煮詰めます。
②煎じた液体は、少し冷ましてから、空のペットボトルに入れ保存。
③煎じた液体を大サジ1杯(15ml)とぬるま湯(水)をいれて全体量を150mlくらいに薄めます。
④ブラッシングをして、汚れをしっかり落としてから、薄めた液体を口に含み「ぐちゅぐちゅ」、口の中全体に行き渡るようにし、吐き出します。それを繰り返してください。
⑤うがい後は、水ですすがないでお休みください。
《保存》
直射日光を避けて、冷暗所に保存してください。冷蔵庫で保存の場合は、使用する際にぬるま湯で割ってのご使用をお勧めします。
抗菌作用
先生は、神奈川歯科大学でこれらのうがい薬の生薬の抗菌作用を実験してもらったところ、善玉菌は傷めずに、悪玉菌にだけ作用して増殖を抑えることが分かり、さらには、白血球の働きをよくすることや歯肉を引き締める効果があることも判明。
このことから、漢方うがい薬には
・歯周病菌に対する抗菌効果
・傷んだ歯ぐきを回復する効果
・歯肉組織のコラーゲンを強める効果
があり、歯周病を予防・改善するとこが分かりました。
販売価格
・歯肉炎用漢方うがい薬:1包420円
・歯周炎用漢方うがい薬:1包300円
でみなみ野漢方薬局にて販売しています。
歯は、物をかみ砕く時、会話をする時に大切なものです。
おいしいものを食べて、食事を楽しむ、会話を楽しむためにも、歯を大切にいたしましょう。
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