耳鳴り・聴力低下・めまいに効果のある漢方薬「滋腎通耳湯(じじんつうじとう)」
- 2024.01.23
- 漢方処方解説
ジージー・キーン・チー・ザワザワ・ゴーゴーと耳障りな音が聞こえてくる耳鳴り
耳に関するお悩みで一番ご相談が多いのが「耳鳴り」です。
耳鼻科などで相談し詳しく検査をしても異常がなく、あきらめてしまう方も多いのですが、漢方薬で体質改善・養生をすることで日常生活で困ることがないようにしてみませんか。
「耳は腎の竅(あな)、腎虚するときは※耳聾(じろう)して鳴る」と古典にあります。五臓「腎」の衰えからくる耳鳴りに対して効果のある「滋腎通耳湯(じじんつうじとう)」をご紹介いたします。
※耳聾(じろう):聴力にさまざまな障害が出ること
滋腎通耳湯(じじんつうじとう)
滋腎通耳湯は、腎の働きの不足を補い、自律神経の働きを整えることで、腎の働きの低下で起こる耳鳴り、めまい、聴力低下を改善する漢方薬のひとつです。
効能・効果
体力虚弱なものの次の諸症:
耳鳴り、聴力低下、めまい
構成成分
当帰(トウキ)
川芎(センキュウ)
芍薬(シャクヤク)
地黄(ジオウ)
知母(チモ)
黄柏(オウバク)
黄芩(オウゴン)
白芷(ビャクシ)
柴胡(サイコ)
香附子(コウブシ)
腎虚(じんきょ)
めまい・耳鳴り・聴力低下などの耳の異常は、中医学では五臓「腎」の衰えと考えます。五臓「腎」は、「先天の本」といい成長と老化、生殖器系、泌尿器系、耳、骨、髪などと関係が深い臓腑です。
腎虚(じんきょ)とは、五臓「腎」の機能が衰えている状態で老化現象の聴力の低下・性機能障害・泌尿器障害・脱毛のほか、更年期障害、冷え、腰痛などの症状が現れてきます。
補腎(ほじん)
腎には、腎陽(じんよう)と腎陰(じんいん)があり、陰が不足しているのか、陽が不足しているのかを見極めていきます。
主な症状 | 治法 | ||
腎陽虚 | 物忘れ、聴力低下、 耳鳴り、めまい、 夜間頻尿、疲労、 腰痛、腰がだるい |
冷え、ED、不妊 明け方下痢 |
温補腎陽 |
腎陰虚 | 不眠、多夢、性欲の乱れ、月経不順、寝汗、のどの渇き | 滋補腎陰 | |
腎精不足 | 足腰がだるい | 成長が遅い、ED、不妊、若年性更年期、年齢より老けて見える、骨が弱い | 補腎填精 |
滋腎通耳湯は、主に腎陰虚に対する漢方薬となります。
また、血虚体質でストレスによってめまいや耳鳴りを起こしている状態にも使用します。
抗老化(アンチエイジング)=補腎
アンチエイジングのことを中医学では「補腎」といいます。
どなたでも、年齢とともに五臓「腎」は衰えていきます。同年代でも髪の毛が多い人、シワの少ない人、閉経が遅い人、同年代よりも若く見える人、骨年齢が若い人は、腎が衰えにくい生活や腎に良いものの摂取(食材や漢方薬、健康食品など)をしています。
逆に、40過ぎてから髪が薄くなってくる、月経間隔が長くなる、シミ・シワが増えてくる、人より老けて見える場合には、腎の働きを低下・消耗させる生活をしていると考えられます。
私は54歳(2023年現在)で、50歳を過ぎた頃から加齢を感じ始めましたので遅ればせながら「補腎」を意識し、生活習慣(早寝早起き、腹八分など)の意識、漢方薬(補腎剤「イスクラ杞菊顆粒」)の服用(活血剤のイスクラ冠元顆粒は10年前から服用)をしています。
腎虚は誰にでもやってくる身体の変化です。少しでも遅らせ、いつまでも若く元気に過ごすために補腎を健康維持のために始めてみませんか。いつでもお気軽にご相談ください。
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