中医学で整える心と体の健康、第2回:体を守り、邪気を追い払う!扶正袪邪の考え方

中医学で整える心と体の健康、第2回:体を守り、邪気を追い払う!扶正袪邪の考え方

 扶正袪邪(ふせいきょじゃ)は、身体のバランスを整えて健康を保つための中医学の考え方です。
「扶正」とは、体の元気(正気)を高めて免疫力や回復力を強くすることを指し、
「袪邪」とは、病気の原因となる悪いもの(邪気)を取り除くことを意味します。
つまり、自分の力を高めつつ、悪いものを取り除くことで、健康を維持し、病気を防ぐ方法です。この考え方をもとに、漢方薬や生活習慣の改善が提案されています。

急性疾患と扶正袪邪

 急性疾患の代表例である感冒(かぜ)は、ウイルスという邪気が粘膜に付着し、体内に侵入することで発症します。
 体はウイルス(邪気)を排除しようとする防御反応として、発熱や咳などの症状を引き起こし、ウイルスの増殖を抑えます。

 正気が充実している人は、この防御反応がしっかり機能するため、回復も早い傾向にあります。一方、虚弱体質の人や高齢者は、正気が不足していることから回復に時間がかかることがあります。
 このような場合、正気を補う漢方薬を服用することで、抵抗力を高め、ウイルス(邪気)を排除する働きを助けます。

代表的な処方例:
・補中益気湯
・十全大補湯
・生脈散(麦味参顆粒)

慢性疾患と扶正袪邪

 慢性疾患は、体の元気(正気)が低下している状態が続き、外部からの邪気やストレス、不摂生などが体に影響を及ぼし続けている状態です。この場合、中医学ではその人の正気の状態や邪気の種類・強さを見極めたうえで、適切な漢方薬を選びます。

 中医学の「扶正袪邪」は、慢性的な不調に対して、体質を改善し、症状を軽減するための有効な方法です。日々の生活の中で、中医学の知恵を取り入れて、心身のバランスを整えていきましょう。

【中医学で整える心を体の健康】
第1回:症状は体からのサイン