中医学で整える心と体の健康 第4回 「邪」を制する者は健康を制す!?中医学の知恵
- 2025.02.03
- 中医学で整える心と体の健康
- 中医学, 漢方の基礎

「邪(じゃ)」という言葉は、中医学では病気や体調不良を引き起こす原因の一つとして使われます。簡単に言うと、「体に悪さをする外部や内部の要因」のことです。日本語では「邪気(じゃき)」とも言われることがあります。
中医学では病気の原因となるものを「病因」といい、外因・内因・不内外因の3因に分けられます。
ここでは「外因」である「六淫」について簡単に解説いたします。
六淫(りくいん)
中国では自然界において、季節の変化や気候の変動によって引き起こされる状態は「風」「寒」「湿」「暑」「燥」「火(熱)」の6種ありこれを「六気」と言います。
これらが健康に影響を与えると「風邪」「寒邪」「湿邪」「暑邪」「燥邪」「火邪・熱邪」となり、「六淫」と呼んでいます。
六淫の種類と例
六淫は、外部環境の変化が体調に影響を与えることを示している概念です。季節や天気に合わせた対策を取ることで、未病を防ぎ、健康を維持することができます。
六淫 | 特徴 | 影響(症状例) |
風邪(ふうじゃ) | 風のように変化が激しく、動きやすい | くしゃみ、鼻水、頭痛、関節の痛み(風邪やアレルギー症状) |
寒邪(かんじゃ) | 寒さによる冷え | 手足の冷え、腹痛、関節痛、血流悪化 |
暑邪(しょじゃ) | 暑さによる影響 | のぼせ、めまい、汗が止まらない、脱水症状 |
湿邪(しつじゃ) | 湿気が多く、重く、停滞しやすい | だるさ、むくみ、胃もたれ、関節の重だるさ |
燥邪(そうじゃ) | 乾燥による影響 | 皮膚や喉の乾燥、咳、便秘 |
火邪(かじゃ)・熱邪(ねつじゃ) | 強い熱の影響 | 発熱、のどの痛み、口内炎、炎症 |
六淫の対策
六淫による不調を防ぐためには、日常生活で環境の変化に対応しながら、養生を心がけることが大切です。例えば:
- 風邪対策 → 急な気温変化に対応する服装を心がける
- 寒邪対策 → 体を温める食事(生姜、シナモンなど)を摂る
- 暑邪対策 → 水分補給をしっかり行い、適度な涼しさを保つ
- 湿邪対策 → 消化の良いものを食べ、運動で巡りを良くする
- 燥邪対策 → 加湿を心がけ、潤いのある食材(梨、蜂蜜など)を摂る
- 火邪対策 → 辛いものや油っこい食べ物を控え、体を冷ます食材(きゅうり、緑豆など)を摂る
邪は、体の「正気(せいき)」という健康を保つ力を弱らせて、病気や不調を引き起こします。正気が強ければ邪気を跳ね返すことができますが、正気が弱ると邪が体の中で影響を与えやすくなります。
邪は「体に入れないこと」「体内で発生させないこと」
そして、
「入ってしまったら早めに排除すること」:袪邪で病邪を取り除く
「発生しやすい状況を整えること」:体質の偏盛を整え予防する
「正気を補うこと」:扶正で不足している正気を補う
が大切です。これらをサポートするのが漢方薬です。個人の体質や症状に応じた漢方薬で身体を整えましょう!!
【中医学で整える心と体の健康】
・第1回:症状は体からのサイン
・第2回:身体を守り邪気を追い払う!「扶正袪邪」の考え方
・第3回:中医学の漢方薬の選び方の基本はオーダーメイド
-
前の記事
中医学で整える心と体の健康 第3回「中医学の漢方薬の選び方の基本はオーダーメイド」 2025.01.30
-
次の記事
花粉症に小青竜湯!タイプ別で選ぶ漢方対策 2025.02.06