~中医学から見る「心と体のつながり」~心身一如

~中医学から見る「心と体のつながり」~心身一如

心身一如(しんしんいちにょ)」は、中医学や仏教、東洋思想における重要な概念であり、現代の心身医学や心理学にも通じる考え方です。

🧘‍♀️「心身一如」とは何か?

心と身体は本来一つのものであり、切り離して考えることはできないという考え方です。

  • 「心身」= 心(精神)と身体(肉体)

  • 「一如」= 一つであり、同じ働きをすること

つまり、心の状態が体に影響し、体の状態が心に影響するという双方向の関係を意味します。

🌿中医学における「心身一如」

中医学では、五臓六腑が単なる臓器ではなく、精神・感情活動とも密接に関わっているとされています。

五臓 関係する精神活動 感情との関係
肝(かん) 抑制・意志・計画 怒(いかり)
心(しん) 意識・思考・喜び 喜(よろこび)
脾(ひ) 思考・記憶 思(しんぱい)
肺(はい) 哀しみ・呼吸・悲観 憂(うれい)・悲(かなしい)
腎(じん) 恐れ・本能・根気 恐(おそれ)・驚(おどろき)

たとえば:

  • 怒りやすい人は「肝」に負担がかかっている

  • 不安や緊張が強いと「心」や「腎」が弱っている

というふうに、心の不調が身体症状として現れたり、その逆もあるのが中医学の捉え方です。

💕体質と心の傾向

性格とは、その人が一貫して示す思考・感情・行動の傾向のことです。
一方で認知とは、物事をどのように捉え、理解し、判断するかという心のプロセスを指します。

中医学では、体質が認知に影響を与えると考えられており、身体のバランスが崩れると、感情や思考も不安定になりやすいとされています。

そのため、体質を整えることで「こころ」の状態が安定し、思考の偏り(認知のゆがみ)も軽減されると考えられています。

中医学の体質 心の傾向(認知) よく使われる漢方
肝気鬱結(かんきうっけつ) 怒りやすい、悲観的になりやすい 加味逍遥散、柴胡加竜骨牡蛎湯
心脾両虚(しんぴりょうきょ) 心配性・物事を悪く捉えがち 加味帰脾湯、帰脾湯
肝陰虚(かんいんきょ) イライラ・焦り・誤解しやすい 酸棗仁湯、天王補心丹
腎虚(じんきょ) 自信が持てない・先のことが不安 杞菊地黄丸、八味地黄丸

漢方治療は、「認知」を直接変えるのではなく、情緒や体の状態を整えることで、認知の変化を促しやすくするというアプローチを取ります。

🧠現代医学との共通点

最近では「心身相関」という言葉が医学・心理学の分野でも用いられています。

たとえば:

  • ストレスによって胃潰瘍や過敏性腸症候群(IBS)になる

  • 慢性的な痛みがうつ病や不安障害を引き起こす

  • 睡眠不足が情緒不安定や認知力低下をもたらす

これはまさに、心と体のつながり=心身一如の現れです。

💡日常への活かし方

  • 心が乱れているときは、生活習慣を整える(睡眠・食事・運動)ことが大切
    気持ちが不安定なときは、まず基本的な生活習慣を見直してみましょう。十分な休養やバランスの良い食事、軽い運動は、自律神経を整え、心を安定させる土台となります。

  • 体の不調を感じるときは、心のストレス(心の疲労)にも目を向けることが必要
    原因不明のだるさや胃腸の不快感、眠れないなどの症状は、心のストレスから来ていることも少なくありません。気づかぬうちに心が悲鳴をあげているかもしれません。

  • 漢方薬や食養生、気功、呼吸法などは、心と体を一緒に整える中医学的なアプローチ
     「気・血・水」の巡りを整えることで、心と体のバランスを回復させていくのが中医学の特徴です。現代の生活に取り入れやすい方法から、無理なく始めてみましょう。

💊漢方相談

心と体は互いに影響し合っています。
「なんとなくつらい」「理由はわからないけど不調」というときは、どちらか一方ではなく、心と体の両面からのケアが必要です。
中医学の知恵を日々の生活に活かして、バランスのとれた毎日を目指しましょう。お気軽にご相談ください。

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みなみ野漢方薬局
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担当薬剤師:松田 哲男