心と体のバランスを整える 〜不眠・うつ・不安に漢方の知恵を〜西洋薬の減薬を助けるパートナー

現代医療は進歩し、不眠・うつ・不安の症状に対して効果的な治療法が数多く確立されています。。
一方で「長く薬を飲んでいるのに改善しきれない」「減薬したい」「もっと自然な形で整えたい」と感じている方も少なくありません。
中医学は、「体質改善」と「心身のバランスを整える」視点からこうした症状にアプローチします。
このサイトでは、漢方治療の正しい考え方、西洋医学との違い、減薬への考え方をご紹介します。
なぜ体質改善が必要なのか
症状だけを抑えても再発する
西洋医学は、症状(眠れない、気分が落ち込む、動悸がするなど)に対して、薬が速やかに作用する「対症療法」が得意としています。
しかし、症状の背景にある心身のアンバランスが残ったままだと、薬の量が増えたり、長期間にわたる服用が必要になったりすることもあります。
中医学の視点
中医学は「症状の背後にある体質の偏り」に着目します。
正気(体の自然なバランス・回復力)を高め、
邪気(ストレス・疲労・病気の原因)を取り除く
「扶正袪邪(ふせいこじゃ)」という考え方に基づき治療を進めます。
体質が整えば自然と症状も軽減し、薬に頼りすぎない体作りが可能になります。
「西洋医学と東洋医学の違い」
西洋医学 | 中医学(漢方) | |
---|---|---|
アプローチ | 対症療法 (症状の緩和、病気の原因を攻める) |
体質改善 (体全体のバランスを整える) |
治療対象 | 検査・診断で明確に把握した病態 | 身体・心のバランス全体(証に基づく治療) |
治療目標 | 症状をとめる・数値を正常化する | 正気を高めて自己回復力を促す |
治療法 | 薬物治療・心理療法など | 漢方薬・鍼灸・養生法(生活改善) |
どちらが良い悪いということではありません。
互いに補い合う関係が理想です。
急性期や重篤な症状➡西洋医学
慢性化した不調・体質改善・再発予防➡漢方の力
減薬と漢方薬(体質改善)の正しい考え方
精神疾患のご相談では「薬を減らしたい」というご希望がよくあります。
背景には、
・副作用への不安
・依存への心配
・改善している実感がない
・離脱症状がつらい
などの思いがあります。
ですが、それに応える形で「薬をやめましょう」というのは、時に危険な選択になることもあります(特に抗うつ薬やベンゾジアゼピン系薬剤)。
減薬が目標になりすぎていませんか?
多くの方が「今飲んでいる薬をやめたい・減らしたい」という気持ちで来店されます。
しかし、本来 目標とすべきは「症状が出にくい体質を作ること」です。
体質が整えば、自然と薬が減り、結果として不要になるケースも多いのです。
✕ 減薬するために漢方を飲む
◎ 体を立て直すために漢方を使い、結果として薬が減らせる状態を目指す
漢方薬での体質改善の流れ
1️⃣ まず現在の体の状態(証)を見極め、正気を養う
2️⃣ 邪気を除き、心身のバランスを整える
3️⃣ 改善が進めば、医師と相談しながら減薬を行う
4️⃣ 最後は「薬がいらない自分」に近づけていく
【注意】急な減薬は逆効果。
正しい順序で進めることが大切です。減薬は必ず主治医と相談しながら進めましょう。
あなたに合った漢方治療とは
不眠症、うつ症、パニック症、不安神経症など、様々なお悩みでご相談いただいています。
ですが、同じ病名でも同じ漢方薬を使用するわけではありません。
・人はそれぞれ体質の個性があり
・心や体が乱れるまでの経緯も違い
・生活習慣も環境も異なります
そのため、漢方相談・カウンセリングを十分に行い、あなたの「証」に合わせたオーダーメイドの治療が必要です。
漢方薬は「西洋薬の代わり」ではありません。
体を育て直し、整えていくパートナーとしてぜひ活用していただきたいと考えています。
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