漢方薬は処方名が同じであれば効果は同じなのか

NO IMAGE

お客様から、漢方薬はいろいろなメーカーから販売されていますが、どこも同じ効果があるのですか。何か違いがありますか。とご質問がありましたので調べてみました。

処方名は同じでも効き目は同じなのか

漢方薬ブームで多くの会社が漢方薬を販売しています。今回、よく知られている漢方処方「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」をメーカーによる違いを調べてみました。

補中益気湯について

[成分及び分量又は本質]
日本薬局方 ニンジン  ・・・・4.0g
日本薬局方 ビャクジュツ・・・・4.0g
日本薬局方 オウギ   ・・・・4.0g
日本薬局方 トウキ   ・・・・3.0g
日本薬局方 チンピ   ・・・・2.0g
日本薬局方 タイソウ  ・・・・2.0g
日本薬局方 サイコ   ・・・・1.0g
日本薬局方 カンゾウ  ・・・・1.5g
日本薬局方 ショウキョウ・・・・0.5g
日本薬局方 ショウマ  ・・・・0.5g
(全 量・・・22.5g)
[効能又は効果]
体力虚弱で、元気がなく、胃腸のはたらきが衰えて、疲れやすいものの次の諸症:虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、ねあせ、感冒

以上が、補中益気湯の煎じ薬の基本情報となります。用法は、記載されている生薬を計量し、500mlの水に加え、半分ぐらいまで煎じつめそれを1日3回に分けて食間に服用します。

補中益気湯を使用する方のタイプや目標については、改めてサイトを作成いたします。

市販品(第2類医薬品)を比較

薬局・薬店で購入できる漢方薬の剤型は、煎じ薬、エキス剤(粉末・細粒・顆粒)、錠剤、丸剤、シロップ剤があります。第2類医薬品として販売されている剤型に各社違いがあるため、純粋な比較は難しいのですが、私が選別した5社の違いをご紹介

剤型の違い
 
  A社 B社 C社 D社 E社
剤型 顆粒 錠剤 錠剤 細粒 顆粒
エキス濃度の違い(補中益気湯に使用する生薬から製した水製乾燥エキスg量)
濃度 2.5 3.2 4.2 5.4 5.0
使用生薬分量の違い  
人参 2.0 2.0 2.0 2.0 4.0
白朮 2.0
(※1)
2.0 2.0 2.0 4.0
黄耆 2.0 2.0 2.0 2.0 4.0
当帰 1.5 1.5 1.5 1.5 3.0
陳皮 1.0 1.0 1.0 1.0 2.0
大棗 1.0 1.0 1.0 1.0 2.0
柴胡 1.0 1.0 1.0 1.0 2.0
甘草 0.75 0.75 0.75 0.75 1.5
生姜 0.25 0.25 0.25 0.25 0.5
升麻 0.5 0.5 0.5 0.5 1.0

(※1)白朮でなく蒼朮(そうじゅつ)を使用 

添加物の違い
添加物 1.2 1.3.4 1.4.5.6.7. 2.5.8.9.10.11 1.2

1.ステアリン酸マグネシウム 2.乳糖水和物 3.ケイ酸AL 4.CMC-Ca 5.トウモロコシデンプン 6.含水二酸化ケイ素 7.軽質無水ケイ酸 8.メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 9.ヒプロメロース 10.結晶セルロース 11.香料

価格比較(定価:税抜)
1日換算 360 353 345 313 オープン

オープン価格は、メーカー希望小売価格が設定されていません、お店によって価格は変動いたします。

効果に違いはあるのか

具体的に、すべての処方を自分で服用したことでその効果の違いを確認したわけではありませんが、お客様に当店のある処方を服用いただいた時に、以前服用していた同一処方ものとは効き目が違う(よく効く)と言われたことがあります。

調合する生薬の分量が同じでも、製したエキス濃度にばらつきがあるのは、メーカーによってエキスの抽出する技術に違いがあるためと使用している生薬の質の違いが原因であると考えられます。そして、それが効果の現れ方に変化をもたらしていると私は思います。

個人の意見・結論としては、同じ処方名でも効能効果の記載が同じであっても、服用したことによる体(その人)に対しての変化や効き目にはメーカーによって違いがあるということになります。

また、エキス濃度が高いからと言って効き目がよいというわけではなく、使用する生薬の質(エキスをお湯に溶かして香りをかぐとメーカーによって違いがあります)、溶けやすさ(吸収スピードに影響します)なども効き目に大きく左右されています。

当店では、エキス剤を1つのメーカーだけで取り揃えるのではなく、この処方はこの製薬会社といった具合にこだわりを持ってお客様へご提供させていただいています。そして、煎じ薬の生薬にしても同様に安全性・有効性にこだわって取り扱っています。

生薬について


お薬は安全に服用いたしましょう
漢方薬も「医薬品」です。どのような薬でも副作用のリスクがあります。正しく使わなければ思わぬ副作用を引き起こすことがあります。そのため、服用の際には必ず、専門家から適切なアドバイスを受けて安全に服用いたしましょう。お気軽にご相談ください