顔が痛くて顔も洗えない(三叉神経痛)
食事や歯磨き、顔を洗うときにも痛みがつらく、食欲がなくなる。落ち着いているときもあるが痛みだすとつらくてたまらない顔の痛み、虫歯だと思って歯科に行ったが問題ないと言われ、耳鼻科に行っても問題ないと言われてしまう。
顔の片側に強烈な痛みが走るのは、三叉神経痛という病気が原因しているかもしれません。
三叉神経痛
昔、顔面神経痛と言っていたらそんな病気はないと叱られたことがあります。三叉神経痛について解説と漢方治療についてご紹介いたします。
顔面の片側にあらわれる
三叉神経というのは、顔の痛みを感じる感覚神経のことで脳幹部というところから出て,頭蓋骨の中を通ってから顔に広がります。
三叉神経痛は、ピリッと鋭い痛みが顔面の片側に走り、その痛みは発作的に起こり持続時間は短いのですがとてもつらい痛みが特徴です。
40代から60代の女性の方が発生率が高いと言われますが、当店でのご相談は全員男性です。
似たような痛みの相談で女性の方が多いのは、帯状疱疹後神経痛でこちらも漢方薬でよくなる方が多くいます。
痛みの原因は
痛みの原因は、三叉神経が過敏な状態となっているために、顔を触れたり、表情を変えた時、外気温が変化した時に、風が当たった時に痛みが起こるのです。
三叉神経が過敏になる原因は、この神経が神経周囲にある血管や腫瘍によって圧迫されるためです。
その為、治療は脳神経外科などで問診、MRIなどの検査をして医師によって病名と原因を診断していただきます。
西洋医学の治療は
西洋医学の治療では薬物治療(多くの患者さんはカルバマゼピン(テグレトール)を服用)、神経ブロック、ガンマナイフ、手術などが選択されます。
多くの患者さんは薬物治療で副作用が起こらない限りは痛みをコントロールしています。しかし、医師は根本的な改善には手術が必要と考えています。
カルバマゼピンの薬物治療で痛みをコントロールできるということは三叉神経痛である可能性が高くなりますが、この薬で効果が得られない場合は他の原因を検討しなくてはいけません。
帯状疱疹ヘルペスが原因の三叉神経の痛みにはリリカが多く使われています。
三叉神経痛の漢方治療
中医学では神経痛という考え方がなく、痛み・しびれ・痙攣・運動障害を特徴とする症状を「痺証(ひしょう)」と定義しています。
痛みの原因(中医学)
痛みが起こる原因を中医学では、
不通則痛・・・気血の流れが悪くて起こる痛み
不栄則痛・・・気血の消耗・臓腑の失調が原因する痛み
と分けて考えています。
痛みの特徴から判断
痛みは、感じる方によって表現方法が違いますが、中医学では痛みの特徴によって発生原因を判断する特徴があります。
種類 | 性質 | 漢方原因 |
脹痛 | 脹満感を伴う痛み | 気滞 |
重痛 | 重だるさを伴う痛み | 痰飲 |
刺痛 | 針で刺されるような痛み | 瘀血 |
絞痛 | 絞られるような激痛 | 気滞、瘀血 |
灼痛 | 灼熱感を伴う痛み | 熱証 |
冷痛 | 寒冷感を伴う痛み | 寒証 |
痛みの種類によって原因が異なり、その原因に合った対策をとりますが、痛みの種類がいくつも重なっていることもありますので、痛みが起こり始めたころからの体調の変化やもとの体質的特徴などから治療方針を検討していく必要があります。
三叉神経痛によく使われる漢方薬
痛みは、前述のように痛みの種類・経過・体質などから漢方薬を選択する必要がありますが、三叉神経痛の時には”止痛”を目的として作られた漢方薬を使用することが多く、とても効果があります。
それは、清上蠲痛湯(せいじょうけんつうとう)という処方で、頭痛の他、首から上の様々な痛みに対して効果があります。三叉神経痛によく似た症状のヘルペス神経炎にも有効で慢性化した痛みにも効果があります。
日常生活の中で困るのが頭痛です。慢性化すると表情まで暗くなり、厄介なものです。その原因はいろいろあり、なかなか特定できません。また、最近多くなっているのが顔面痛です。原因不明の三叉神経痛が多いのですが、虫歯や副鼻腔炎から誘発される顔面の痛み、帯状疱疹後神経痛のように三叉神経に沿って痛みが出るものも、外傷後の顔面痛がありますが、特に突発的に起こる顔面痛はQOL(生活の質)を著しく低下させます。
そのようなときに応用されるのが 清上蠲痛湯エキス細粒G「コタロー」です。漢方では頭痛(頭部の痛み)薬に位置付けられており、痛みを緩和させる作用が強く、痛みで高ぶった気分を鎮めてくれます。 【清上蠲痛湯エキス細粒G添付文書より引用】
清上蠲痛湯の他、イスクラ冠元顆粒、釣藤散、抑肝散、補中益気湯など様々な処方を三叉神経痛のご相談に使用します。
試して2日でつらい痛みが楽になった
いつもご愛顧いただいているお客様がご友人の方が西洋治療をしているが、一向に良くならずとても悩んで落ち込んでいるということで、2日分だけ清上蠲痛湯をお渡しして服用していただいたところ、とてもよくなって喜んでいるという報告を頂きました。
その1週間後、ご本人がご来店されまだ完全に痛みがとれていないのと連休が入るためまた痛みが出ると困るので少しお薬を頂きたいということで1週間分お渡しいたしました。
漢方薬は、効果が出るまでに時間がかかると言われますが、頭痛や三叉神経痛、帯状疱疹後神経痛などでは早い効果が期待できます。
西洋治療で思った効果が得られていないということであれば是非ご相談ください。
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