補中益気湯(ほちゅうえっきとう)|体力・消化力・気力を同時に補う漢方薬

漢方処方解説

補中益気湯は、脾胃(消化吸収機能)の弱さと全身の気力不足に対応する代表的な補気剤です。「中気」を補い、疲労倦怠感や食欲不振、病後の回復をサポートします。特に、身体が下がったような感覚(下垂感)や慢性的な倦怠感がある方に適しています。

処方構成と生薬の役割

  • 人参(にんじん):補気、疲労回復
  • 黄耆(おうぎ):補気、免疫力向上、消耗体質の改善
  • 白朮(びゃくじゅつ):補気、脾胃を健やかにする
  • 茯苓(ぶくりょう):利水、浮腫の改善
  • 甘草(かんぞう):補気薬の作用を調和
  • 当帰(とうき):血行改善
  • 升麻(しょうま):中気を引き上げる
  • 柴胡(さいこ):中気を引き上げ、気の巡りを整える
  • 陳皮(ちんぴ):胃腸の働きを整え、気を巡らせる
  • 生姜(しょうきょう):温胃、消化促進

補中益気湯は「中気を補う+気を引き上げる」作用が特徴で、気虚による疲労や下垂感に効果的です。

効能・適応症

  • 病後や手術後の体力低下
  • 慢性的な疲労倦怠感
  • 食欲不振、消化不良
  • 下痢や軟便
  • 全身倦怠、顔色不良

類似処方

処方主な特徴適応
補中益気湯気を引き上げる作用(升麻・柴胡)+補気脾胃虚弱+全身倦怠、下垂感、病後回復期
六君子湯補気重視、化痰成分(半夏・陳皮)で消化促進食欲不振・胃もたれ・痰湿がある方
参苓白朮散六君子湯を基に浮腫・下痢改善に特化脾胃虚弱+水分代謝障害、慢性下痢・浮腫

補中益気湯は「引き上げる力」があるため、身体が下がった感じの方や病後の体力回復期に向きます。六君子湯や参苓白朮散は、消化器症状や水分代謝障害がメインです。

補中益気湯は体力・消化力・気力の低下に対して有効な漢方薬です。しかし、体質や症状により最適な処方は異なります。当店では、あなたの体質や症状に合わせた漢方薬の選定を行っております。お気軽にご相談ください。

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