「この薬草は○○に良い」と聞くと、その薬草を使えばよいのでは?
と思うかもしれません。
その情報を、もう一歩深く考えてみませんか?
インターネットやSNSを見ると、健康についてたくさんの情報が出てきます。
「これを飲んだら肌がきれいになった」
「この薬草を毎日煎じていたら体調が良くなった」
「血糖値が気になるなら、毎日○○を食べるといい」
こうした情報は、とても分かりやすく、すぐに試してみたくなります。
実際、その方法がその方にとって良かったのであれば、それは大切な体験です。
ただ、ここで一つ考えてみてほしいことがあります。
「その人に良かったのは、なぜなのだろう?」
そして、
「自分にも同じ方法が合うのだろうか?」
ということです。
同じ症状でも、同じ方法が合うとは限らない
例えば「冷え」で悩んでいる人がいたとします。
ある人は、温かいものを摂るようになったら調子が良くなった。
別の人は、運動を始めたら冷えを感じにくくなった。
また別の人は、食事を見直したら体調が良くなった。
同じ「冷え」という症状でも、身体の状態や生活習慣は人によって違います。
だからこそ、
「○○が良かった」
という情報だけで終わらず、
「なぜ、その人には○○が良かったのだろう?」
と考えてみることが、自分に合う方法を探すヒントになります。
「何が良いか」だけでなく、「なぜ良いのか」を考える
健康情報は、分かりやすいほど広まりやすいものです。
「○○には△△」
「毎日これを食べればいい」
「この薬草を煎じればいい」
という情報は、覚えやすく、実践もしやすいからです。
でも、本当に知りたいのは、
「なぜ、それが良いのか?」
という部分ではないでしょうか。
そこが分かれば、同じ方法だけにこだわる必要がなくなります。
例えば「身体を温めること」が大切なのだと分かれば、特定の食材だけではなく、食事、運動、睡眠、入浴など、いろいろな方法を考えることができます。
「血流を良くすること」が自分にとって大切なのだと分かれば、それを目的とする方法も一つではありません。
つまり、理由が分かれば、選択肢が増えます。
そして、
「自分には何が合うのだろう?」
と考えられるようになります。
漢方は「この病気には、この薬」というだけではありません
ここで、漢方の考え方を少し紹介します。
現在、日本では医療機関でも多くの漢方薬が使われています。
「冷えには○○」
「胃の症状には○○」
「不眠には○○」
というように、漢方薬を症状や病名と結び付けて知る機会も増えました。
これは漢方薬を知るうえで分かりやすい方法です。
一方、漢方を専門に扱う私たちは、処方を考えるときに、症状だけを見ているわけではありません。
「この方の身体は、今どういう状態なのだろう?」
というところから考えていきます。
同じ「不眠」でも、同じ「冷え」でも、同じ「頭痛」でも、その背景が同じとは限らないからです。
このように、症状だけではなく、その人の体質や身体の状態を見て、どのように対応するかを考えるのが、漢方の弁証論治という考え方です。

「○○が効いた」から、もう一歩先へ
SNSなどで見かけた健康情報を、すぐに否定する必要はありません。
その人にとって、本当に良かったのかもしれません。
大切なのは、その情報を見たときに、
「私も同じものを使えばいい」
で終わらせないことです。
「その人には、なぜ良かったのだろう?」
「その人と自分では、身体の状態は同じだろうか?」
「同じ目的なら、ほかにどんな方法があるだろう?」
と考えてみる。
そうすると、健康情報の見方が少し変わってきます。
一つの「正解」を探すのではなく、
自分の身体を知り、自分に合う方法を探していく。
漢方の「弁証論治」も、まさにそのような発想から始まります。

