真夏から残暑までの養生に役立つ漢方 — 清暑益気湯(せいしょえっきとう)とは

漢方処方解説

強い日差しと湿気で体力と潤いが奪われる「夏バテ」や「暑気あたり」に対して、昔から用いられてきた代表的な漢方処方が「清暑益気湯」です。
真夏の猛暑日から、季節の変わり目の残暑にかけて活躍する処方で、汗のかきすぎや食欲不振、だるさが続くときに役立ちます。

清暑益気湯とは

清暑益気湯は、暑さによって「気(元気)と津液(体の潤い)」が消耗した状態、つまり汗をかきすぎて体力が落ちたり食欲不振やだるさが続く「夏バテ」や暑気あたりに用いられる漢方処方です。歴史的には補中益気湯や生脈散と関係のある処方で、現代の医療用エキス製剤としても使われます。

成分と働き

代表的な構成生薬(医療用エキス製剤の記載)は次の通りです:
白朮(びゃくじゅつ)、人参(にんじん)、麦門冬(ばくもんどう)、黄耆(おうぎ)、陳皮(ちんぴ)、当帰(とうき)、黄柏(おうばく)、甘草(かんぞう)、五味子(ごみし)
これらは「気を補う」「体の潤いを守る」「気血の巡りを整える」といった役割を組み合わせ、暑さで失われた体力と水分バランスを回復することを目的としています。

こんな症状・体質の方に向く

  • 汗をかきやすく、疲労感が強い(倦怠感が抜けない)
  • 食欲不振・胃腸の調子が落ちている(冷たいものを多く摂ってしまうなど)
  • 暑さで寝つきが悪い、夜間に疲れが取れない
  • 残暑や猛暑の後で体重が落ちたり「夏やせ」が気になる方

医療用の効能表示としても「暑気あたり、暑さによる食欲不振・下痢・全身倦怠、夏やせ」などが挙げられています。

麦味参顆粒(生脈散)との違い・使い分け

麦味参顆粒(生脈散を製品化したもの)は構成がよりシンプル(主に人参・麦門冬・五味子)で、脱水や心気(息切れ・動悸)傾向、軽度の体力低下に手早く対応するために使われます。清暑益気湯は胃腸症状(食欲不振や下痢)や体質的な虚弱感が伴うケースでより適していることが多いです。どちらを選ぶかは「今の症状(脱水寄りか、胃腸+全身疲労か)」「普段の体力(虚弱度)」で判断します。

よくある質問

Q. 清暑益気湯は熱中症に効きますか?
A. 軽度の脱水や暑さでの体力消耗に対する養生薬としては有効ですが、重度の熱中症(意識障害・高体温・嘔吐など)が疑われる場合はすぐに救急を受診してください。

Q. いつまで飲んでよいですか?
A. 症状が改善しているか、服用で副作用(むくみ・血圧上昇・手足の脱力など)が出ないかを確認しながら短期間〜中期で検討します。長期服用は医師・薬剤師と相談してください。

まとめ

比較的体力が落ち、食欲不振・全身倦怠・汗のかきすぎが続く残暑の不調には、清暑益気湯が有力な選択肢です。添付文書に示される用法(成人1日7.5gなど)を基本にしつつ、持病や併用薬の有無、血圧・電解質の管理に注意してください。

自分に合うか迷ったら、体質(証)・現在の症状・服用中の薬剤を薬局で相談してください。当店でも問診のうえで適切な製剤と用法を提案します。

相談予約・店舗案内

みなみ野漢方薬局
〒192-0917 東京都八王子市西片倉2-12-12
: 042-638-8860
定休日:水曜、第一日曜(年末年始の他臨時休業があります)
営業時間:午前10時~午後7時
管理薬剤師:松田哲男
mail@minamino-kanpou.com
https://x.com/minamino_kanpou
: https://lin.ee/PYnf0bm

タイトルとURLをコピーしました