睡眠が足りていても安心できない?-認知症予防に「補腎」と「活血」という視点を-

漢方トピック

前回の記事(認知症予防の新常識)では、
認知症予防と睡眠の質についてお話しました。

「私はぐっすり眠れているから大丈夫」
そうおっしゃる方も多くいらっしゃいます。
確かに、質の良い睡眠は
脳の老廃物排出に大切な役割を担います。

しかし――
中医学では、脳の健康は睡眠だけでなく
「腎」と「血」の状態
と深く関わると考えます。

脳は「髄の海」― 腎が土台になる

古典医学書『黄帝内経』には、
「腎は髄を生じ、脳は髄の海である」
と記されています。

『黄帝内経』は、中国最古級の医学書であり、東洋医学(中医学)の理論的基礎をなす古典。伝説上の帝王・黄帝(こうてい)と臣下との問答形式で記され、人体・病理・診断・治療を体系的に論じる。戦国時代末期から前漢期(紀元前3~2世紀頃)に成立したとされる。

腎は、(中医学で読む”五臓「腎」”の働き

  • 成長
  • 老化
  • ホルモンバランス
  • 生命力

を司るとされます。
加齢とともに腎の力は少しずつ弱まります。

睡眠が取れていても、

  • 最近物忘れが増えた
  • 足腰が弱くなった
  • 耳鳴りがする
  • 白髪が急に増えた

こうした変化があれば、
「補腎」の視点が必要かもしれません。

血流が脳の元気を左右する

もう一つ重要なのが「血の巡り」です。

脳は体重のわずか約2%ですが、
全身血流の約15〜20%を必要とすると言われています。

巡りが悪くなれば、
脳の働きにも影響が出やすくなります。

中医学では、血の滞りを「瘀血」と呼び、
瘀血(おけつ)があると、(中医学で学ぶ「瘀血」とは

  • 手足が冷える
  • 肩こりが強い
  • 舌の色が暗い
  • シミやくすみが増える

といったサインが現れることがあります。

活血という予防の考え方

瘀血体質の方に用いられる代表的な製剤の一つが
冠元顆粒 です。

丹参を中心とした処方で、
血流を整える目的で用いられます。

実際に、

  • 物忘れが気になり始めた
  • 頭がスッキリしない
  • 血管系の不安がある

という方が、未病段階でご相談に来られるケースは少なくありません。

「症状が出てから」ではなく
「今のうちに巡りを整える」
それが未病先防の考え方です。

補腎系製剤というもう一つの柱

腎虚傾向がある方には、

  • 足腰の衰え
  • 冷え
  • 夜間頻尿
  • 慢性的な疲労

などが見られます。
そのような場合には、
体質に応じて補腎を目的とした漢方製剤を選択します。

補うだけでなく、
巡らせる。

この両輪がそろってこそ、
脳の土台は安定します。

睡眠+補腎+活血という三本柱

睡眠が整っている方は、
すでに「排出(アミロイドβの排出)」は意識できています。
次の段階は、

  • 脳の土台を強める(補腎)
  • 脳へしっかり届ける(活血)

という視点を加えることで、
より安定した脳の環境づくりが可能になります。

こんな方におすすめです

  • よく眠れているが、物忘れが少し増えた
  • 親が認知症で将来が心配
  • 足腰の衰えを感じる
  • 血圧や血流が気になる
  • 冷えや血流の悪さを感じる
  • 60代以降も頭をクリアに保ちたい
  • 健康寿命を延ばしたい

20年後の自分にできること

認知症は突然始まるものではなく、
長い年月をかけて進行すると言われています。

だからこそ、
何も困っていない今が、最も大切なタイミング。

あなたの体質は
「巡りを整えるタイプ」か
「補うことが先のタイプ」か。

丁寧な問診で見極め、
最適な方法をご提案します。
未来の脳を守る準備、
今日から始めてみませんか。

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