手袋とサヨナラ「掌蹠膿疱症」を漢方薬で改善
皮膚病相談の中でも、アトピー性皮膚炎に次いで多いのが「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」。
西洋の皮膚科での治療は、アトピー同様に「ステロイド軟膏」が中心となります。
漢方治療でも、アトピー同様に体質である「証」、病邪の性質(風・熱・湿・燥)を見極めて治療を行います。
掌蹠膿疱症の症状
手のひらの母指球と呼ばれる部分と小指球と呼ばれる部分、足裏の土踏まずに小さな水疱(小水疱:5mm以下のもの)が多く発生し、膿疱化(無菌性)して赤く充血します。
それらが、融合し皮膚表面が隆起又は陥凹し、平らな塊となることもあり、時にかゆみを伴い、2~4週間で繰り返し発生して慢性に経過します。
膝や下肢、頭部にもみられることがあります。
膿疱は無菌性なので触っても他の方に感染することは絶対にないのですが、ご相談に来られる方の多くがご家族にも嫌がられると言われます。
私がこれまでご相談いただいた方の症状の特徴としては、手のひらの場合も足裏も、全体に赤く充血し、皮膚が厚くゴワゴワした状態(時にジクジク)。よくなってくると皮膚がやわらかくなり、手の場合は母指球部にある症状を最後に完治します。
多くの方が、はじめは手袋をはめてご来店されますが、徐々に良くなっていくと手袋をしなくなり、良くなってきたよ喜んでいただけます。
原因
皮膚科専門書には、原因不明。1日20本以上の長期喫煙者に多い。
細菌アレルギーの関与や歯科金属アレルギーを誘因とする症例もあり、膿疱性乾癬の限局型という説もあるそうです
皮膚科の専門病院ほど臨床経験があるわけではありませんが、ご相談いただいた方は、女性が多く、非喫煙者(ご家族は不明)であります。
漢方医学からの原因は、多くの方が「湿熱」が原因とし、「衛気」の不足を伴っています。
治療
前述したように「湿熱」「衛気」が関連している場合が多く、
「湿熱」を取り除くために、竜胆瀉肝湯(瀉火利湿顆粒)・十味敗毒湯・黄連解毒湯などの処方に、「衛気」を補うための、衛益顆粒、補中益気湯などを同時に服用します。
良くなってきたら「湿熱」を除く処方量を減らし、「衛気」を補うことを中心として完治を目指します。
ステロイド軟膏は、かゆみが強い場合は併用してもかまいません。良くなってくると自然と使用量が減ってきます。
掌蹠膿疱症は、ステロイド軟膏だけでは完治させることは困難です。慢性化し同じ治療を繰り返しているのであれば、漢方治療を是非、ご検討ください。
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