漢方薬でアトピー性皮膚炎を改善する方法

漢方薬でアトピー性皮膚炎を改善する方法

アトピー性皮膚炎を改善する漢方治療

 

はじめに

アトピー性皮膚炎だけでなく、ニキビをはじめ脂漏性湿疹、尋常性乾癬、、掌蹠膿庖症、自家感作性皮膚炎、汗疱、蕁麻疹、薬剤性紅皮症など様々な皮膚疾患の遷延化した症状をかかえることは、学園生活・日常生活・社会生活に多くの支障をきたし生活の質(QOL)を低下させ、時には不眠症・うつ症など他の症状を引き起こす原因となる疾患でもあります。

漢方薬での皮膚病の治療はどのようなものなのか、どんな特徴があるのかをご紹介していきます。

定義

アトピー性皮膚炎のことを中国では”異位性皮膚炎”と呼ばれ、湿疹の範疇に含ませたり、”瘡瘍(そうよう)”と称したりと、文献によってその表現は異なっていることがありますが、その治療は、他の疾患同様、病名によって治療方法を変えるのではなく、皮膚の状態と体質との総合的な判断が大切であるとの考え方はどの文献も同じです。

西洋医学での定義
 アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰り返す、瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ。アトピー素因とは、①家族歴・既往歴(気管支喘息,アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、あるいは複数の疾患)
があること、または② IgE 抗体を産生しやすい素因をさす。
(日本皮膚科学会ガイドライン:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版)

漢方相談

皮膚病の相談では、皮膚の状態を観察しこれまでの経過や治療歴、増悪・寛解のきっかけなど症状について詳しくお伺いします。

また、皮膚症状の起る前の体質と症状を発症してからの体質を詳しくお伺いし、どのような体質変化・生活習慣の変化・環境変化が影響を及ぼしているのかを観察します。

乳児のころからアトピーと診断されてもあきらめないでください。原因となる生まれつきの体質を改善することで皮膚は良くなります。

体質って何?

大辞林 第三版(コトバンク)の解説
たいしつ【体質】
生まれながらにもっている体の性質。また、性向。 「虚弱な-」 「何物にも妥協しない-」
組織などにしみ込んでいるある種の性質。 「保守的な-」 「党の-」

中医学における体質というのは、その方の五臓六腑・気血水の状態を指しているもので、胃腸が弱いという場合は「脾虚体質(ひきょたいしつ)」、風邪ひきやすい体質であるという方は「気虚体質(ききょたいしつ)」などと呼んでいます。

漢方薬の選び方|正気の不足【補益編】

アトピー・皮膚病の原因

皮膚病に限ったことではありませんが、中医学では病気の原因を体の内側(内因)と外部環境(外因)とに分けて考えています。

皮ふにある病変があらわれた場合、西洋医学では、外用薬が中心の治療(皮膚の外側からの治療)となります。

もしその皮膚症状が、アレルギー物質、病原体、虫刺されや擦り傷、火傷、漆かぶれなど外部からの刺激だけによってあらわれている場合には、外用薬で改善できます。

しかし、外用薬で改善できない場合には、外部からの刺激だけで皮膚症状があらわれているのではないと考えてください。特に、慢性的に繰り返している皮膚病は、外部環境の影響よりも体質に依存しているのです。

中医学での内因とは、主に体質的な要因(体質の弱点が原因)です。外因というのは気候変動やアレルギー物質など前述した皮膚に対しての直接的な外部からの刺激のことを指しています。

つまり、外用薬で一時的に見た目が良くなっても繰り返し発症してしまうのは、その原因の多くは内因にあると考えるのが自然です。

漢方の治療方法

「内に病あれば、必ず外にあらわれる」

と中医学では考えているため、外的刺激がきっかけであっても慢性的に繰り返される状態は体質(内因)を改善する必要があると考えています。

漢方治療は体質を見極め、体質を整えていく漢方薬を服用していただくのですが、

皮膚病の多くは、体質だけが原因でなく六淫(りくいん)と呼ばれる「病邪」が身体の内に入り込むことや体内で発生することで、皮膚に病変を引き起こしていると考えています。その為、治療は体質を整えることと、病邪を取り除くことを同時に行うことが大切です。

六淫の症状の特徴

皮ふにあらわれている症状は、人によって違いがあります。それは、体質が違うことと原因となる六淫が異なっているためです。

六淫は、風邪・熱邪・寒邪・燥邪・湿邪・暑邪の6種類で、皮膚病ではそれぞれの病邪が組み合わさって発生することが多いのが特徴です。

ご自分の症状がどのタイプに当てはまるかチェックしてみましょう。

風熱(風邪と熱邪の混合)タイプ

□病状の変化が激しい
□症状が移動する
□赤みが強い
□患部にほてり(熱)がある
□かゆみが強い
□乾燥肌
□ジクジクしていない(浸出液がない)
□上半身に集中している

湿熱(湿邪と熱邪の混合)タイプ

□ジクジクしている(浸出液がある)
□水疱が見られる
□腫れている
□化膿しやすい
□痛痒い
□皮膚の奥にかゆみがある
□下半身や関節部に発症
□患部の治りが悪い

熱燥(熱邪と燥邪の混合)タイプ

□乾燥肌でカサカサしている
□赤みがないか少ない
□皮膚がボロボロはがれる
□常に搔いてしまう
□搔いている部分が赤くブツブツになる

燥邪タイプ

□敏感肌である
□乾燥肌
□皮ふ表面がかゆい
□ストレスで悪化
□冬場に悪化

これら以外にも、風・熱・湿が混合しているタイプがあり、風熱タイプから湿熱タイプに変化する、季節によってタイプが異なるなど皮膚症状が一定しないこともあります。

その為、治療は変化を見ながら病邪(六淫)のタイプに合わせて漢方薬を選択する必要があります。

よく使用される漢方処方

黄連解毒湯、四物湯、温清飲、柴胡清肝湯、荊芥連翹湯、十味敗毒湯、五物解毒湯、竜胆瀉肝湯、茵蔯蒿湯、衛益顆粒、補中益気湯

それぞれのタイプにどの漢方薬を使用すればよいのかについては、専門家の指導によって選んでいただき、服用することをお勧めいたします。

体質(五臓六腑)をチェックしてみよう

中医学では、身体の不調や乱れは五臓六腑にあらわれ、あらわれている症状からどの五臓六腑に乱れが出ているのかを判断することをします。このことを臓腑弁証と呼びます。

五臓の乱れで現れやすい症状を一覧にいたしましたので、当てはまる数の多いところが今問題のある臓腑であると考えることができます。

肝(胆)のトラブル

□ イライラや不安感がある
□ 眠りが浅く、嫌な夢を見る
□ わき腹や胸が張って苦しい
□ 便秘と下痢を繰り返す
□ 目が疲れやすい、視力低下
□ 筋がこわばったり、ひきつれたりする
□ 爪が割れやすい、凸凹している
□ 月経不順、月経前にイライラする
□ 顔色が青い
□ 舌の両側の縁に赤みがある

心(小腸)のトラブル

□ 動悸や息切れがする
□ 寝つきが悪く、途中で目が覚める
□ 不安感がある
□ 物忘れしやすい
□ 胸や心臓部が重い、痛む
□ 左の肩や肩甲骨のあたりがこる
□ 少しの運動で汗をかく
□ 手足や顔がむくむ
□ 顔が赤い、ほてる
□ 舌の先端が赤い、または痛みがある

脾(胃)のトラブル

□ 食欲がない
□ 胃が痛い、または胃がむかつく
□ 下痢をしやすい
□ 口の中が荒れ、味がわかりにくい
□ 手足がだるく、筋力が弱い
□ 体がやせる、太っていて水太り
□ アザができやすい
□ 月経が止まりにくい
□ 顔や皮膚の色が黄色っぽい
□ よだれが多い
□ 舌の周囲に歯型がつく

肺(大腸)のトラブル

□ 咳や痰がでやすい
□ 呼吸が苦しい
□ 息が詰まったり、鼻水がよくでる
□ のどが腫れて痛みやすい
□ 風邪をひきやすい
□ 皮膚が弱い
□ 便秘になりやすい
□ アレルギー性の鼻炎や皮膚炎がある
□ 顔が白っぽい、色白である
□ 口で呼吸していることが多い

腎(膀胱)のトラブル

□ 足腰がだるく、腰痛を起こす
□ 精力が減退している
□ 骨がもろい(骨粗鬆症である)
□ 排尿障害を感じる(頻尿・残尿感・夜間尿など)
□ むくみやすい
□ 寒がりである(腰回りが冷える)
□ 手足がほてる、午後に微熱が出る
□ 耳鳴りや難聴がある
□ 顔が黒ずんでいる、目の下にクマ
□ 舌が赤く、苔が少ない

皮膚病よくある質問

Q1.病院の治療と併用できますか

西洋治療と並行して治療を行えます。

漢方を始めて、ステロイドをすぐに止めてしまう方がいますが、急激にやめると悪化することがありますので注意してください。

内服薬を服用している場合には、服用量の調整は医師に相談してください。

Q2.どのくらいしたら変化しますか、服用期間は

漢方薬は、西洋医学のようなピンポイントでの治療は得意としていませんので、すぐにというわけではありませんが、1週間から10日ぐらいすると変化が見えてきます。

服用期間の目安は、4~6カ月ですが、実際に服用している方は、良くなっても繰り返さないようにその後も予防として漢方薬を服用していただいています。

Q3.いくらくらいかかりますか

漢方薬の種類によっても違いますが、
当店では、
・エキス剤(粉のお薬)1日500円(税抜)~
煎じ薬(煮込んで作る)1日600円(税抜)~
をお薦めしています。

Q4.何日分から調合してくれますか

漢方薬の調合は1日分から調合可能ですが、はじめにお渡しする日数は1~2週間分となります。

Q5.手軽なお薦めのお茶はありますか

ハトムギ、枇杷の葉、どくだみ、ルイボスティー、シジュウムなどの健康茶はお手軽に服用できます。

お茶は、治療を目的とするよりも予防やちょっとした補助として使用していただく事をお薦めします。

Q6.尋常性乾癬なんだけど漢方薬は何がいいの

症状によって様々な漢方薬が使われています。

みなみ野漢方薬局では漢方薬は、以下の事項を重視し選んでいます。
①症状の特徴から「病邪」を判定
②症状の基原、これまでの変化・治療歴などから悪化させる要因を探る
③体質の変化や生活習慣をお伺いして、基本的な体質を判定(五臓・気血水)
④病邪を除くことを優先するか、体質から整えていくのかを総合的な判断により治療方針を決定

これらの流れによって漢方薬を調合しています。選択する漢方処方は1種類だけとは限らず2~3処方を組み合わせて調合することがあります。

100人いれば100通りの症状・体質があるので治療法も100通りになります。漢方薬の服用を考えている方は、必ずカウンセリングを受けて自分の体質・症状に合った漢方薬を調合していただきましょう。

お客様の感想・ご意見

  • 20数年来悩んでいた皮膚病が、たった3か月で改善、今までの治療は何だったのか
  • 皮膚症状が軽減され、いけなかった学校にも元気に登校できるようになった
  • お釣りを渡すときに手を見せるのがつらくいつも手袋をしていたが必要なくなった
  • 痛くて歩くのがつらかったけれども、毎日散歩できるようになった
  • 風邪をひきにくくなった
  • 花粉症も一緒によくなった
  • 夜ぐっすり眠れるようになった

など症状がなくなることで日常生活が良い方向に変化するのを皆さん実感しています。

皮膚病の漢方治療は、病邪を見極め体質改善することでよくなります。皮膚がきれいになっていく喜びを一緒に体験しましょう。

ご相談お待ちしております。

相談予約042-638-8860
当店での漢方相談は、おひとりお一人ゆっくり時間(30~60分)を取らせていただいておりますので、ご来店相談の前にお電話いただけると幸いです。