めまい（眩暈）は、「ぐるぐる回る回転性めまい」だけではありません。
ふわふわと浮くような感じ、くらくらする、横に揺れるような感覚、まっすぐ歩きにくいなど、症状の現れ方は人それぞれです。
一時的に起こることもありますが、慢性的に続く場合は日常生活に支障をきたすこともあります。
西洋医学では耳や血圧、貧血などが原因として診断されますが、
中医学（漢方）では体の内側のバランスの乱れに注目し、症状や体質に合わせた治療を行うことで、再発しにくい体を作ることを目指します。
中医学からみためまいの原因
中医学では、めまいは主に「肝・腎・脾・心」の働きと関係があると考えます。
原因や症状によって以下のタイプに分けられます。
肝陽上亢（かんようじょうこう）タイプ
ストレスや緊張、生活の乱れで肝の陽気が上に偏り、頭に熱や血のめぐりの異常が生じるタイプ。
- 回転性めまい（ぐるぐる回る）
- 頭痛や目のかすみを伴う
- ストレスや疲労で悪化しやすい
代表処方：天麻鈎藤飲、竜胆瀉肝湯
肝風内動（かんふうないどう）タイプ
肝の陰が不足し、陽が抑えきれず、めまい・ふらつきが慢性的に起こるタイプ。
加齢や慢性疾患で症状が出やすくなります。
- ふわふわ浮くようなめまい
- 横揺れ感、体が安定しない
- 手足のしびれや震えが出ることも
代表処方：抑肝散、天麻鉤藤飲、杞菊地黄丸
気血不足（きけつぶそく）タイプ
全身の気や血が不足し、脳や耳に十分な栄養が届かないことで起こるタイプ。
- 立ちくらみ、くらくらする感じ
- 疲れやすい、動悸を伴うこともある
- 症状が長引きやすい
痰湿（たんしつ）タイプ
体内に余分な水分や老廃物が滞り、頭にのぼることでめまいが生じるタイプ。
食べ過ぎや飲みすぎ、消化機能の低下が原因になることがあります。
- 頭が重い、ふわふわ・揺れる感じ
- 食後や朝に悪化しやすい
- 吐き気を伴うことも
漢方治療の考え方
めまいの漢方治療では、症状を抑えるだけでなく体質を整えることが重要です。
- 肝陽上亢や肝風内動には頭の血流とストレス緩和
- 気血不足タイプには全身の栄養とエネルギー補充
- 痰湿タイプには水分代謝の改善
体質診断を行い、症状や生活習慣に合わせて漢方薬を組み合わせることで、症状の軽減と再発予防を目指します。
セルフケアのポイント
- ゆっくり立ち上がる、急な体位変換を避ける
- 規則正しい生活と十分な睡眠
- 塩分・脂肪の摂りすぎに注意
- ストレスをためない、軽い運動で血流改善
- 水分をこまめに摂り、むくみや疲労を溜めない
まとめ
めまいは、体のどこかのバランスが崩れることで起こる症状です。
中医学（漢方）では、症状の抑制だけでなく、体質改善によって再発しにくい体をつくることを目指します。
慢性的なめまいでお困りの方も、まずは体質を見直すことから始めてみませんか。
お気軽にご相談ください。