口の渇き(ドライマウス)や口臭は、日常生活に大きな影響を与える症状です。食事や会話に支障が出たり、人間関係にも不安をもたらすことがあります。しかし、原因がはっきりしない場合も多く、西洋医学では「唾液分泌を増やす薬」や「口腔ケア」が中心になることが多いです。
そこで、中医学の視点から、症状の背景を見極め、体質に合わせた漢方治療で根本的に改善する方法をご紹介します。
ドライマウス・口臭の中医学的な原因
中医学では、口の渇きや口臭を体の「陰・陽・気・血」のバランスの乱れや、五臓の機能低下から考えます。主な原因は以下の通りです。
| 症状パターン | 中医学的原因 | 特徴 |
|---|---|---|
| 口が乾く、唇や舌も乾燥する | 「陰虚(いんきょ)」 :体の潤い不足 | 夜間に渇く、手足のほてり、のぼせ感 |
| 口の中がネバネバ、口臭が強い | 「胃熱(いねつ)」 :胃の熱が上がる | 口が苦い、口臭が強い、便秘気味 |
| 食後に胸やけや胃のもたれがある | 「胃気の滞り(胃の気滞)」 | 食欲不振、吐き気、口が酸っぱい・苦い |
| 疲れやすく、唾液が少ない | 「気虚(ききょ)」 :体のエネルギー不足 | 顔色がさえない、息切れしやすい、食欲低下 |
代表的な漢方薬と使い方
中医学では、症状の「原因」と「体質」に合わせて漢方薬を選びます。以下はよく用いられる処方例です。
| 症状パターン | 代表的な漢方薬 | 効果・特徴 |
|---|---|---|
| 阴虚による乾燥 | 麦門冬湯 | 体の潤いを補い、唾液の分泌を助ける |
| 胃熱による口臭・口渇 | 黄連解毒湯 | 胃の熱を下げ、口の苦みや臭いを軽減 |
| 胃の気滞による胸やけ・口の不快感 | 半夏瀉心湯 | 胃腸の気の滞りを改善し、口の不快感や酸味を抑える |
| 胃の冷えによる胃もたれ・口渇 | 生姜瀉心湯 | 胃の冷えを温め、消化機能を整える |
| 気虚による疲労感・唾液減少 | 補中益気湯 | エネルギーを補い、唾液分泌を改善 |
※漢方薬は自己判断で服用すると効果が得られない場合や、副作用が出ることがあります。必ず漢方専門薬局に相談してください。
日常でできる中医学的セルフケア
漢方薬と合わせて、日常生活の工夫も大切です。
- 水分補給
常温の水を少量ずつこまめに飲むことで、口の乾燥を防ぎます。 - 食生活の改善
辛味や油分の多い食事は胃熱を助長するため控えめに。 - 睡眠と休養
十分な睡眠で体の陰陽バランスを整えます。 - 舌や口のマッサージ
舌や口の周りを軽くマッサージすると唾液分泌を促します。
まとめ
ドライマウスや口臭は、原因によって漢方治療のアプローチが変わります。中医学の考え方では、症状の背後にある体質のバランスを整えることが改善の鍵です。
漢方薬は、体質に合わせて選ぶことで、唾液分泌の改善や口臭軽減だけでなく、全身の健康維持にも役立ちます。まずは、自分の体質や症状を相談することをおすすめします。

