産後の体調不良・不眠・耳鳴り

産後の体調不良・不眠・耳鳴り

ご相談内容・お悩み

(女性.30代)
産後、子供の夜泣きなどで不眠症となり、その後、動悸・耳鳴り・めまい・頭痛・肩こりなど様々な症状が出てきて不安感が強くなり、さらに症状が悪化している。ホームページを見て自律神経には漢方薬が良いと書いてあったので相談に来ました。
既往歴:バセドウ病

漢方服用経過・その後

睡眠がうまく取れないことでのストレスと自律神経の緊張が身体全体のバランスを乱してしまっている状態です。バセドウ病の既往歴もあることから、中医学の「肝」の働きに乱れが生じやすい体質であると判断し、「肝」の緊張をほぐす煎じ薬を14日間からスタート。

14日目ご来店での相談では、睡眠がとれるようになり体力的にも体調も楽になってきている、ただ、頭痛や耳鳴り、動悸などのもろもろも症状は続いている。さらに14日間煎じ薬を調合。

体調は安定して良好であるが、ストレスがたまると頭痛や胃腸の調子の乱れが発生。今度は30日分同一処方の煎じ薬で様子を見ることに

体調に波はあるが、はじめのころよりも調子が良くなり、いろいろと気にならなくなっている。再度、30日分煎じを処方。

半年後、煎じ薬を薄くして時々服用することで体調を維持できているのでまた30日分調合してご自分で調整して服用を続けています。

薬剤師からのコメント

女性は7の倍数で体質が変化しますが、出産によっても体質が大きく変化することがあります。しかしこの方の場合、お子さんがうまく眠れないことで自分の睡眠も十分に取れなくなり全体的なバランスを乱してしまいました。

育児はストレスとの戦いと言われますが、ストレスに対しての感受性・適応力には個人差があり、体調を崩さないで育児をこなす方もいます。ストレスに対しての適応する五臓は「肝」で、「肝」の働きの強い方が適応力に優れているのです。

この方の場合の治療は、「肝」の興奮(適応しようとして体が頑張りすぎて空回りしている)状態であるため、それを鎮めることを中心に、胃腸を整え「血」を補う漢方薬が合っていたため睡眠がすぐに安定し、体調が徐々に良くなってきました。

育児のストレスは、体質的なものが原因である場合、気合で乗り越えることはできません。適切な対応・治療が育児を楽にしてくれます。お気軽にご相談ください。

(肝について)
「肝臓のことですか」と聞かれることがありますが、肝臓も含めた漢方独自の働きを担った臓腑のことです。その主な働きは、
①「気」の巡りの管理:精神・感情のコントロール
②「血」の貯蔵:体が必要とするときに「血」の栄養を与え体を養っていきます。体を動かしているときに消耗が大きくなりますが、睡眠中はその消耗が少なくなります。
その他、「肝」は目、爪、筋などと関係があります。

 


(お薬を安全に使うために)
漢方薬も「医薬品」です。どのような薬でも副作用のリスクがあります。正しく使わなければ思わぬ副作用を引き起こすことがあります。そのため、服用の際には必ず、専門家から適切なアドバイスを受けて安全に服用いたしましょう。