甲状腺とその役割
首の前方、のどぼとけ(甲状軟骨)のすぐ下に位置し、ちょうちょが羽を広げたような形をしている甲状腺は、体内で「甲状腺ホルモン」を作り出す重要な内分泌器官です。
このホルモンは体温・心拍数・エネルギー代謝・成長などをコントロールし、その分泌は脳の下垂体から放出されるTSH(甲状腺刺激ホルモン)によって調整されています。ホルモンの血中量が下がるとTSHが分泌されてホルモン生成を促し、逆に増え過ぎるとTSH分泌が抑えられます。
甲状腺ホルモンにはヨウ素が3つ付いたT₃、4つのT₄があり、血液検査では主に遊離型のFT₃・FT₄の数値を測定します。
代表的な甲状腺の病気と主な症状
橋本病
自己免疫による慢性炎症が甲状腺に起こる病気で、進行すると機能が低下します。
主な症状:むくみ、体重増加、疲れやすさ、冷え、皮膚の乾燥、抜け毛、便秘、肩こり、生理不順、月経過多、無気力、物忘れ、肝障害、貧血。
中医学では「脾腎陽虚(体を温める力の不足)」「気血両虚(エネルギーと血の不足)」「痰湿(余分な水や痰が停滞)」として理解します。
バセドウ病
免疫異常により甲状腺が刺激され、甲状腺ホルモンが過剰分泌されてしまう病気です。
主な症状:眼球突出、体重減少、疲労、微熱、発汗、動悸、脱毛、下痢、脱力感、生理不順、不妊、集中力低下、不眠、高血圧、肝機能障害。
中医学では、主に「肝火が強い」「陰が不足して熱がこもる」「痰がつかえて結節になる」などと捉えます。
中医学からの見方
中国の臨床では、甲状腺の異常を「肝・脾・腎」のバランスの乱れとして考え、体質ごとに対応します。
甲状腺機能低下(橋本病)に多いタイプ
- 脾腎陽虚型:冷え、むくみ、下痢、無気力
→ 脾腎を温めて補う処方(例:真武湯、右帰丸、補中益気湯) - 心脾両虚型:疲労、動悸、不眠、健忘
→ 心と脾を補い、気血を養う処方(例:帰脾湯) - 痰湿型:体が重い、だるい、首の腫れ
→ 痰や余分な水分をさばく処方(例:二陳湯、苓桂朮甘湯、温胆湯)
甲状腺機能亢進(バセドウ病)に多いタイプ
- 肝火旺盛型:イライラ、怒りっぽい、目の充血、便秘
→ 肝の熱を冷ます処方(例:柴胡加竜骨牡蛎湯、加味逍遥散) - 陰虚火旺型:寝汗、のぼせ、やせる、動悸、不眠
→ 陰を補い火を冷ます処方(例:知柏地黄丸、天王補心丹) - 痰気鬱結型:首の腫れ、胸苦しさ、咽中異物感
→ 痰を除き、気を巡らす処方(例:海藻玉壺湯、半夏厚朴湯)
治療の実際
西洋医学の薬(ホルモン薬や抗甲状腺薬)を基本としながら、漢方を併用して体質改善や症状緩和を図るケースが一般的です。
漢方は「体のバランスを整える」「副作用を減らす」「再発予防を助ける」目的で用いられます。
まとめ
甲状腺の病気はホルモンバランスの乱れによって、体と心の両面に影響を及ぼします。
中医学では体質に合わせた弁証論治により、症状の緩和や体力の回復をサポートできます。
自己判断での漢方薬使用は避け、必ず専門家にご相談ください。
店舗情報
みなみ野漢方薬局
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定休日:水曜、第一日曜(年末年始他臨時休業があります)
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